田島芽瑠の「読メル幸せ」第75回

田島芽瑠の読メル幸せ

第75回


7月になりました🌻
早くも2024年上半期が終わり、暑い暑い本格的な夏が始まりましたね。
夏バテなのか、なーんもしたくない!みたいな日常が続いています。「休日は外で友達と遊ぶぞー!」っていう、とにかくアクティブ人間だった私も、最近は家でダラダラゴロゴロしてアニメを観たりドラマを観たり映画を観たりする時間がとても落ち着きます。何もしていないのに何故かお腹は空くもので・・・ついついたくさん食べてしまうので、冷蔵庫に必要最低限のものしか置かないようにしています😂
学生の人はもうすぐ夏休みが始まるのかなぁ。最近の東京は観光の方も多く、とにかく人、人、人!外に出るだけでちょっぴり疲れちゃいます(笑)。でも私なりに夏を楽しみます!みんなも水分補給を大切に楽しんでねー!

少々集中力が欠けている今の私でも、夢中になって一気に読めちゃうほど面白かった作品を紹介させてください。
芦沢央さんの『僕の神さま』です。

「読メル幸せ」第75回

ミステリー系って作品によっては重ためで、私はこういうテンションの時なかなか読み進められないことがあるのですが、流石、芦沢先生でした。入りはスッと物語の世界に出迎えてくれるのに、進めば進むほど深いミステリーの世界に導かれて、気付いたら続きを読みたくてたまらない心にしてくれる。

主人公は小学5年生の男の子で、その〝僕〟が語り手の物語です。〝僕〟のお友達〝水谷くん〟が名探偵コナンのように謎を解き明かしていく爽快ミステリーで、4話のエピソードとエピローグで構成されています。水谷くんが、一体何者!?というくらいの推理力で、こんな子が同級生にいたらきっと楽しいだろうな〜なんて第1話を読みながら思いました。とてもじゃないけど小学生には見えない。
ですが、第2話〝川上さん〟の登場でガラッと雰囲気が変わっていきます。大人じゃないと解決できない問題に立ち向かうからです。きっと1話から、大事には至らなかったものの間違えていた選択は沢山あったんですよね。子供だからできた発想、子供だから許されたこと。やっぱりこの子達はちゃんと小学生なのだなと実感して、忘れてしまった子供の頃の感覚をほんのり思い出すきっかけをもらいました。

「読メル幸せ」第75回

〝僕〟は運動が苦手で目立つ人達も苦手。運動会もなんとなくこなすような、誰かに囲まれることなんてない普通の男の子。一方、〝水谷くん〟はいつもみんなに頼りにされて「神さま」なんて呼ばれていて、〝僕〟とは正反対の男の子。〝水谷くん〟を自分の中で特別なものにすることで見ないようにしていた〝僕〟は、この作品の中で大きく成長していきます。その成長を見届けられるのも、この作品の楽しみの一つです。
この子達がこれからどんな人生を歩み、どんな選択をし、どんな大人になっていくのか。想像が膨らみます。大人になったこの子達に会いたいなと思いました。

小学校で同じクラスの3人。大人でも経験しないようなことを経験した3人。大人になるにつれて責任が増えていき、自分がした選択が間違いだったんじゃないかと思う事や怖くなる事が増えていく。でも私は、誰かを救おうと行動できるその気持ちは大人になっても無くしてほしくないな、なんて私自身できているかわからないことを思っちゃいました。
その行動が、誰かの為の正しい選択になることを願って。

良い本の旅を。田島芽瑠でした。

「読メル幸せ」第75回

(次回は2024年8月中旬に更新予定です)


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