◎編集者コラム◎ 『ボーダーライト 神奈川県警少年捜査課』今野敏
◎編集者コラム◎
『ボーダーライト 神奈川県警少年捜査課』今野敏
著者の今野敏さんは、言わずと知れた警察小説の第一人者です。
「隠蔽捜査」シリーズに代表される警察小説群は名作ばかり! なのですが、デビュー当初から手がけられている冒険小説や伝奇ミステリ、アクションものなどでも多くのファンを獲得しています。
そんな今野さんの、緊迫感に満ちた捜査小説と、伝奇ミステリのカタルシスの両方の魅力が味わえるぜいたくな作品が『ボーダーライト 神奈川県警少年捜査課』です。
あらすじをご紹介します。
県内で少年犯罪が急増している──神奈川県警少年捜査課の高尾と丸木が調査を始めた直後、ふたりのよく知る高校生・赤岩が薬物取引の現場で検挙された。赤岩は同級生の賀茂の助言で、取引を邪魔しに行ったのだという。賀茂は古代の霊能者・役小角(エンノオズヌ)を自らに降臨させる不思議な少年だった。時を同じくして横浜で売春や特殊詐欺も発生するが、罪を犯した若者たちの共通点は、カリスマボーカルのミサキを擁する人気バンド・スカGのファンということだけだった。みなとみらい署のマル暴・諸橋らの協力を得て、高尾たちは真相解明を目指す。
一般的な警察小説に見えるあらすじに突如として登場する「古代の霊能者・役小角を自らに降臨させる不思議な少年」。びっくりしてしまうかもしれませんが、彼の存在こそが本シリーズをエンタメ警察小説として唯一無二のものへと引き上げてくれます。特別な力をもつ少年がどう事件に関わってくるのか、その力がどのように発揮されるか、彼の存在がまわりの人たちをどう変えていくのか──ぜひ読んでお楽しみいただきたいです。
特別な存在は登場しますが、物語の本筋をひっぱるのは、少年の更生に熱い思いを燃やす警察官・高尾です。傍若無人に見えて、少年たちのために労を惜しまない高尾の存在の心強いこと! 高尾と丸木の捜査パートには今野さんの警察小説のエッセンスが詰め込まれていますので、そちらにもご注目ください。
なお、本書の続編『リミックス 神奈川県警少年捜査課』は9月3日発売予定。続編も手に取っていただけたら嬉しいです。
──『ボーダーライト 神奈川県警少年捜査課』担当者より