『生殖記』朝井リョウ/著▷「2025年本屋大賞」ノミネート作を担当編集者が全力PR

とにかく読んでいただきたいです
人気の小説家というと、短いスパンで作品を出し続ける、という方もいらっしゃいますが、長い時間をかけて、試行錯誤しながら改めて難攻不落の新たな山に登っていくような腹の括り方を感じるような局面が本作には多々ありました。それでいて、そうした気負いのようなものは感じられず、その語り口はさながら人外のかわいらしい小動物めいたものが語り倒しているような印象を読み手に与えてくれるほどです(ちなみにこの語り口、というか、視点に関して何度か朝井リョウさんがインタビューで語っていた「人類に肩入れしない目線で書く」という言葉はとても強く印象に残っています)。
これまで内容を明かさない施策を展開中のため、その点に関しては言及できませんが、機会があり、本作を読まれたあるベストセラー作家の方が、メールのなかで以下のような内容のことを書かれていたのがものすごく印象に残り、さすがは同じ作家の方ならではの見方だなあ、と感じ入ったので、ここに記させていただきます。
「たぶん、前代未聞の設定であり、それでいて、単に変な設定というところでは終わっていない。小説の書き方や読み方すら変えてしまうことができる、そんなレベルのことをやっているような気がする。漫画や映画では表現できない部分で、完全に、小説ならではの試みだと思う」

──小学館 出版局 石川和男