心がほっこりあたたまる物語。
少しずつ寒くなってきた。外で遊ぶのも楽しいけど、暖かい部屋の中で温かいお茶を飲みながら大好きな本を読む時間が格別に楽しくなってくる。
今回は、普通に暮らしている人々のところに、ある日突然、動物やロボットといった、人ではない異質な存在がやってきて、共に暮らしたり旅に出たり、という心が少しほっこりするような小説を選んでみた。
マイケル・ボンドさんの『くまのパディントン』は昨年日本でも映画が公開されたので、それをきっかけに読まれた人も多いのではないかと思う児童文学の名作。
ペルーからロンドンにやってきた小さなクマ。パディントン駅で出会ったということでその名を付けられたパディントンは、優しいブラウン夫妻の家に引き取られ、夫妻とその子供たち、お手伝いさんと共に暮らし始める。
どういうわけかパディントンの行く先々では思わぬ事件やトラブルが満載。しかしパディントンの頑張りや天真爛漫かつ大胆な行動によって、最後は必ず良い結末を迎える。
パディントンの子グマならでは? の勘違いや思い込みと、そこに向けられる行動力に、時に大笑いさせられ、時にほっこりさせられる。
11月に続編が発売されたデボラ・インストールさんの『ロボット・イン・ザ・ガーデン』は、少し関係がギクシャクしているベンとエイミーが暮らす家の庭に壊れかけたロボットが忽然と現れたところから話が始まる。そのロボット・タングに特別なものを感じたベンが、共に彼の作り主を捜しに旅に出る。ロボットなのに笑ったり駄々をこねたりするタングが小さな男の子みたいで目が離せなくなる。共に旅をするちょっとダメ男のベンが旅の間に少しずつ成長していく過程も読みどころ。
江國香織さんの『ぼくの小鳥ちゃん』の小鳥ちゃんもある日唐突に主人公のぼくの部屋にやってくる。そのまま余りにもナチュラルに始まるふたり? の日常を描いた物語。 強気な口調でぼくに色々要求したり、ぼくの彼女を意識してか、ふたりの写った写真立てを倒したり、小悪魔女子的な魅力でいっぱいな小鳥ちゃんと、それに静かに振り回されるぼくが微笑ましくてあったかい気持ちになる。