◎編集者コラム◎ 『犬から聞いた素敵な話~涙あふれる14の物語』山口 花
◎編集者コラム◎
『犬から聞いた素敵な話~涙あふれる14の物語』山口 花
まずは写真を見てください。
右にいるチワワはゴン太、左にいるフレブルはドラミンと言います。我が家のペットたちです。しかし、ゴン太は3年前、13歳でこの世を去り、ドラミンは緑内障で光を失いました。それまで元気に駆け回っていたドラミンはすっかり静かになってしまい、外で遊び回ることもできません。ひたすら私の足を舐めては寝ていることが多くなりました。
そんな状況の中で、本作の企画が持ち込まれました。
本書の編集をしていて困ったのは、ゲラを読んでいるときも、2匹の犬たちのことを彷彿させるエピソードが出てきて、ふとしたところでグッと来て、仕事の手を止めざるを得なくなることでした。これ、大げさじゃなくて、本当です。
本書には、14編の人と犬との物語が収められています。いずれも、地道な取材を積み重ね、丹念に拾い集めた実際のエピソードをもとに綴られた物語です。大きな事件が起こるわけでも、壮大なストーリーが展開するわけでもありません。極論してしまえば、人と犬とがただお互いを思い合う、それだけのことが、こんなにも胸を打つドラマを生み、温かな感動をもたらしてくれるのだということを、驚きとともに実感させてくれる短編集になっています。長く続くコロナ禍に、ざらつきがちな心の癒しとして、ぜひおすすめしたい一冊です。
著者の山口花さんは、この「犬から聞いた素敵な話」シリーズをはじめ、犬を描いた著作で累計50万部のヒットを記録する〝犬のスペシャリスト〟。現在は、2代目となるゴールデンレトリーバーのデニィ君と山形で暮らしています。今回の文庫化にあたり、デニィ君との微笑ましい日常を、エッセイに書き下ろしていただきました。
解説を寄せてくれた森泉さんの家の5匹のワンちゃんたちのエピソードもまた、「素敵な話」になっています。最後になりますが、本書制作にあたり、フリー編集者の小林潤子さんの絶大な協力があったことを付記しておきます。
──『犬から聞いた素敵な話~涙あふれる14の物語』担当者より
『犬から聞いた素敵な話~涙あふれる14の物語』
山口 花