次は、書店巡りがブームに!? 「御書印」の旅へ出かけませんか。


「唐突ですが『御書印プロジェクト』を始めたいと思います」

 それはまだ暑さの残る昨年10月の下旬のこと。荻窪のとある本屋さんに客として入った私は、じっくり本を物色した末に、1冊の本を買いました。のどの渇きを覚え、奥の喫茶コーナーでアイスカフェラテを飲みました。そして、黙ってお店を出ました。駅へ向かう道すがら、ふと脳裏に浮かんだのが、「御書印」というフレーズでした。

 そこから妄想がはじまります。書店の会計時に、少々気むずかしげに見える店主に、緊張しながら「御書印ください」と声をかける。すると表情は一変。「はい」とにこやかに答えてくれる。少々人見知りで気後れしてしまう私も「御書印」を書いてくれている間、店主と自然に言葉を交わす。やがて「出来ましたよ」と御書印帖を渡してくれる。「ありがとうございます」と代金を渡す。さっきのお店でそんなやりとりがあったなら、購入した本だけじゃない、違う「なにか」と出会えたかもしれない。そのタイミングでしか、巡りあうことのない「なにか」に。

 そして私は突き動かされるようにして、書店さん向け企画書を書き始めました。「唐突ですが『御書印プロジェクト』を始めたいと思います」と。

 遅ればせながら自己紹介をいたしますと、私は小学館の営業会社に勤めています。その同僚や上司、小学館の仲間に話したところ「面白そうだね」「いますぐ、やるべきだよ」と後押しされ、またこの企画を相談した書店員さんたちの反応もよかったことから、トントン拍子に話はすすみ、今年3月1日に、プロジェクトはスタートしました。

「御書印プロジェクト」とは?

「御書印」とは、神社やお寺の「御朱印」の書店版だと思ってください。
 プロジェクトに参加している書店に行き、「御書印ください」と言うと、お店をイメージした大きなオリジナル印など3つの印を押してもらえます。さらに、お店で選んだフレーズや本のタイトルなどとともに来店日を書き込んでもらえます。御書印代は200円程度かかりますが、"御書印帖"は、最初に訪れた参加書店で先着順に無料で配布中です。お手元に御朱印帳があれば、それを御書印帖の代わりに使っていただいてもかまいません。

御書印帳
神保町東京堂書店の店頭 このポスターが目印です!

 お店を訪れた記念として手元に残る「御書印」は、本を巡る旅の証。人生の証ともいえるかもしれません。また街から書店さんがだんだん少なくなっている今、御書印を介して、気持ち的にも金銭的にも書店という場をサポートすることができます。

 今回ご参加の書店は、北海道から宮崎までの46店。今後3ヶ月おき(次回は6月1日予定)に参加書店が新たに加わる予定です。参加店とその受付時間は、公式サイトで案内しています。

御書印帳
私の御書印帖の1ページ目

目指すところは?

 御書印帖の巻頭には、
"「御書印」は人と書店を結ぶ印です。
 御書印店を訪れると、そこで書店員が選んだ本と偶然に出会うでしょう。そしてあなたはこれまで知りえなかったことにふれるかもしれません。"
 と書かれています。

 このプロジェクトを通して、これまで知りえなかった「なにか」に出会ってもらいたい。
 そして旅に出たら、神社仏閣、お城や酒蔵にいくような感覚で旅先の書店も覗いてみていただきたい。
 6月には、礼文島や佐渡島、沖縄の書店さんも参加します。この試みが、地域に根付いている個性ある書店に、多くの人が足を運ぶきっかけになってほしい、そう願っています。

御書印帳
青山山陽堂書店の店頭

 将来的には海外の書店にも参加してもらって、「GOSHOIN,please?」「OK!」というやりとりが聞けるようになるのが夢です(笑)。印を押して、一筆書き添えることは世界中のどこの本屋さんでもできることですから。
 御書印参加書店さん、随時募集しています。参加してみようかなと思われた書店員さんはコチラへメールください。

 goshoin★sho-ps.co.jp
 (★を@に変えてお送り下さい)

 折り返し、「唐突ですが『御書印プロジェクト』を始めたいと思います」と書かれた書店さん向け企画書をお送りします。

御書印プロジェクト 事務局
(小学館PS 営業企画部内)
小川宗也

◎編集者コラム◎ 『彼女の知らない空』早瀬 耕
◎編集者コラム◎ 『北前船用心棒 ◆ 赤穂ノ湊 犬侍見参』赤神 諒