◎編集者コラム◎ 『上流階級 富久丸百貨店外商部 Ⅲ』高殿 円
◎編集者コラム◎
『上流階級 富久丸百貨店外商部 Ⅲ』高殿 円
百貨店の外商部って、ふだん私たちはなかなかお付き合いありませんよね。私は一度、某有名作家のご自宅に伺っているときに、某有名百貨店の外商部員二人が、キラキラのアクセサリーが詰まった箱を開けて、作家の奥様に、「これは限定10点もののネックレスで、奥様には絶対お似合いですよ」と満面の笑顔で勧め、奥様が「そうなのね。で、おいくらかしら?」とお聞きになると、「はい、300万でございます。いつもご贔屓いただいているので、精一杯勉強させていただきます」というやりとりを聞いて卒倒しましたが、さらに、私が座っていたカーペットは2000万で外商さんから購入されたと聞いて、汚したらたいへん!と、思わずカーペットからとびのいて、床に避難した記憶があるくらいです。
本書の主人公鮫島静緒(39歳)が勤務する富久丸百貨店外商部の仕事は、年間150万以上の買い物をしてお得意様カードを保有している限られた人が対象で、お客様のお宅に出向いて注文を取ったり、その場で商品を売ったりします。わずか一割の富裕層相手で百貨店の年間の売上の3割から4割を叩き出す百貨店の柱です。商品を売るだけではなく、結婚式やお葬式の準備、ホームパーティの手伝い、家のリフォームの発注、旅行の段取り、さらには顧客との関係を良くするために、一緒に食事をしたり、料理教室に通ったり。前作では、ヤクザの愛人である顧客の逃亡を手伝ったり、なんてことまで。
ドラマ化された大ヒットシリーズの、待ちに待った新作です。しかもいきなり文庫で書き下ろし!
解説は、読書家で有名で読売新聞の書評委員もつとめている、女優の南沢奈央さん。「パワフルな静緒から目がはなせなくなくなり、元気と勇気をもらう。私が百貨店に魅力を感じる訳がわかった。」と本書の面白さに太鼓判を押してくれました。
大ヒット作連発の高殿円さん最新作、ぜひご期待ください!
──『上流階級 富久丸百貨店外商部 Ⅲ』担当者より
『上流階級 富久丸百貨店外商部 Ⅲ』
高殿 円