◎編集者コラム◎ 『私はスカーレット Ⅳ』林 真理子
◎編集者コラム◎
『私はスカーレット Ⅳ』林 真理子
「田中みな実ちゃんって現代のスカーレットよね」
林真理子さんがそう呟いたのは、2年ほど前、『私はスカーレット』第1巻が出版されて間もない取材の席でのこと。途端に「……確かに!!」と、その場にいた全員が激しく頷いたのです。
「とにかく美しい!でもその裏でめっちゃ努力してるんですよね」
「自己プロデュース力が半端ない!あれはみんなが学ぶべき」
「ご本人は会うとすごく感じが良くて、みんな好きになっちゃう」
「〝あざとかわいい〟とか、まんまスカーレットですよね!」
……とひとしきり盛り上がり、「田中みな実=現代のスカーレット・オハラ」と勝手に決定。
これはもう、みな実さんに推薦文をお願いするしかない!と早速、猪突猛進に依頼しました。前向きな感触を頂きつつも、連続ドラマ以降の過密スケジュールやコロナ禍の混乱で、なかなか実現が叶わなかったのですが……ようやく!この第4巻のオビに、素晴らしく力強いコメントを頂きました(涙)。ぜひぜひ、店頭でチェックしてください。
さて、林真理子さんによる名作『風と共に去りぬ』の超訳版『私はスカーレット』第4巻では、ヒロイン・スカーレットがとんでもない危機に立たされます。アトランタから戦火を逃れて命からがら実家の農園タラに帰ってきたものの、財産も食糧もすべてを敵軍に奪われ、使用人のほとんどはいなくなっていました。最愛の母親は流行病で前日になくなり、妹二人も同じ病で床に臥せ、大農園の主である父親は正気を失っています。大きな衝撃を受けながらも、家族やタラの住人を養うため、生きていくため、彼女は「わがままで自己中なお嬢さま」時代にきっぱり別れを告げ、一家の主となる決意をします。
疫病の流行に敗戦が重なり、今日食べるものさえないという絶望的な状況に立たされながらも、「何をしても生き抜いてみせる」と誓うスカーレットの凜々しくかっこいいこと。女主人として食糧の確保に奔走し、自ら厳しい農作業に勤しみ、敵軍にも毅然と立ち向かう……みな実さんが「こんな風に生きてみたい」と言うのも、本当によくわかる。そして、今を生きる私たちも、時代を超えて、極限状態にあっても絶対に心折れまいとするスカーレットの姿に勇気づけられるのです。
困難な時代こそ、古典名作を。『私はスカーレット Ⅳ』、お読みいただければ幸いです。
──『私はスカーレット Ⅳ』担当者より
『私はスカーレット Ⅳ』
林 真理子