◎編集者コラム◎ 『彼女が最後に見たものは』まさきとしか
◎編集者コラム◎
『彼女が最後に見たものは』まさきとしか
家族の愛と闇に迫る、まさきとしかさんの衝撃のミステリ『あの日、君は何をした』。本作は昨年7月に初版7000部というささやかな部数で発売したにもかかわらず、〝極ミス〟(極上のミステリ)という新しい言葉で絶賛されるほどの大反響を呼びました。同年秋には啓文堂書店の「2020年文庫大賞」第1位にも選ばれて順調に版を重ね、おかげさまで現在24万部を突破する大ヒット作となっています。
この『あの君』に登場する三ツ矢秀平と田所岳斗の刑事コンビが活躍する、シリーズ第2弾となる作品が『彼女が最後に見たものは』(以降『かの見た』)です。
前作に続きコロナ禍での刊行となったため、札幌在住のまさきさんとは1年半くらい会うことができず、もっぱら電話と Zoom で打合せを重ねました。『あの君』に重版がかかるたびにご報告を兼ねて電話をしていたので、17刷という刷り数を考えると、少なくとも17回はお電話をして、あれこれとお話をしたのだなぁと感慨深いです。
最近自分の身に降りかかったつらい出来事、悲しかったこと、面白かった本、つまらなかった本、気になる事件、さらには仕事にまつわる愚痴まで……。まさきさんがいつも優しく笑いながら受け止めてくださるので、本題以外の話に熱が入ってしまうことも多く、いつもハッと気付くとあっという間に1時間くらい経っていました。
作家と編集者が「会わずして」作品を作るというのは異例のことですが、『かの見た』が誕生するまでには、コロナ禍転じてたくさんの会話を重ねた記憶が残っています。
うっかりネタバレしてしまうと大変ですし、まっさらな状態で読んでいただきたいので、『かの見た』の内容には一切触れないまま、ここまで文字数を埋めてみました(すでにお気づきかと思いますが……)。
まさきさんからいただいた第一稿を読み終えた時、「ああ、編集者になってよかった」と心の底から思いました。この小説を世界で一番最初に読み、読者にお届けすることができる自分は本当に幸せだと思います。前作の『あの君』を超える傑作ミステリに仕上がっておりますので、ぜひ年末年始の読書にお楽しみください。
──『彼女が最後に見たものは』担当者より
『彼女が最後に見たものは』
まさきとしか