◎編集者コラム◎ 『余命3000文字』村崎羯諦
◎編集者コラム◎
『余命3000文字』村崎羯諦
はじめまして、『余命3000文字』の編集業務を担当しました荒田と申します! 早いもので2020年も残り1ヶ月。読者の皆々様におかれましては、どのような1年でしたでしょうか。
私事で恐縮ですが、思い返せば今年は良くも悪くもたくさんの「はじめて」を経験した年だったのですが、今回ご紹介させていただく『余命3000文字』という作品は、良い意味での「はじめて」をたくさんくれた作品でした。
と、言いますのも、本作は「余命3000文字」という作品を標題作とした、全26編からなる短編集なのですが――この標題作、名は体を表すように3000文字きっかりで描かれております。
ゆえに、編集者作業では校正(確認)の工程で、文字数を一文字一文字、数えていきました。これまで色々な本を出してきましたが、文字数をここまでカウントしたのは、はじめての経験です。
また、小学校1年生の女の子が6年生に進級していくまでの様子を日記形式で綴った「私は漢字が書けない」という作品では、1年生時は1年生で習う漢字のみを、2年生時では2年生で習う漢字のみを……といった具合で、使用する漢字を限定する仕組みがあります。
これもまた、はじめての経験として校正者様のご協力のもと、小学校の指導要領とにらめっこしながら、一文字ずつ漢字を確認するという、はじめての経験をさせていただきました。
そして、本文中だけでなくデザインにおいても「はじめて」の経験がありました。それが、上段の画像のもので、今回、カバーイラストをラフの段階で公開し、どちらが良いかアンケートを実施。読者様の声を参考にさせていただきました。
何より、著者の村崎先生は本作がはじめての商業出版となるデビュー作! そしてそして(再度の私事で恐縮ですが……)私にとっても小学館転職後、はじめて自身で立ち上げた企画で、二人にとって、デビューを飾る作品となります。
普段、中々やらないような確認作業の数々に骨を折ってくださいました校正者様、素晴らしいイラストをご執筆いただいたうえでラフの公開までご許諾いただいたsyo5先生に、この場を借りて、最大限の感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。
以上、たくさんの嬉しい「はじめて」がつまった本作が、たくさんの読者の皆様に「はじめまして」と届くことを願い、本コラムを終えたいと思います。
『余命3000文字』。ぜひ、ご贔屓に!!
──『余命3000文字』担当者より