ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第32回
作家によっても、
編集者によっても様々である。
もはや、内容はおろか、誤字すら直せないため、おちんこ出てる、と書きたかったところを「落ち込んでいる」などという取り返しがつかない誤植として世に出てしまったりするのだ。
たまに「ここの編集は誤字チェックすらしないのか」と編集者の姿勢に対し、憤りを見せている方もいる。
確かに、誤字などの確認は編集の仕事なのだが「作家が編集に校正する間を与えていない」というケースもあるので、一概に編集部を責めてはいけない。
だが、WEB連載に対し感覚がファジーになっているのは作家だけではない。
掲載側も「毎週火曜日更新!」と謳いながら、何食わぬ顔で水曜日に更新したりするし、酷い時は、何の予告もなしに一週休んでしまっている、という時もある。
雑誌だったら「掲載し忘れのため休載いたします」ということは滅多にないと思し、編集の首が物理的に飛ぶと思うが、WEBでは割とある。
しかし「ちゃんと掲載日を守れ」というと「じゃあお前は締め切りを守れ」という話になってしまうので、作家側も何も言えないのだ。
こうして、どんどんWEB連載の締め切りと掲載日の概念はあやふやになっていくのである。
他のメディアにくらべ、簡単に始められるのがネットの良いところなのだが、ハードルが下がった分だけ、意識も下がっているということも、たまにある。
しかし、締め切りというのは、守れば何と原稿料がもらえるのだ。
それがこのご時世なんとありがたいことか、という話である。
守れば金が貰えるものを自ら破るなんて、贅沢としか言いようがない。世が世なら憲兵隊に粛清されている。
締め切りを守れば金が貰える。
当たり前のことだが、それが当たり前でなくなっているのが今なのだ。
締め切りを守れば原稿料が貰える、会社に行けば給料がもらえる、どんな奴も死ぬまで殴れば死ぬ、そんな当たり前のすばらしさを噛みしめていきたい今日この頃である。