◎編集者コラム◎ 『黒と白のはざま』著/ロバート・ベイリー 訳/吉野弘人
◎編集者コラム◎
『黒と白のはざま』著/ロバート・ベイリー 訳/吉野弘人
「本当に面白かったです。この本を出してくれてありがとう。続編もぜひ出してくださいね!」
編集部の電話が鳴ったのは昨年の春、アメリカの胸アツ法廷スリラー『ザ・プロフェッサー』を刊行して間もなくのことでした。電話の主は、落語家の林家正蔵さん。週刊誌に掲載された本書の書評を読み、「面白そうだ」と書店で買い求め、読了後その興奮も醒めやらぬままに電話をくださったというのです。
正蔵さんは、毎年「このミステリーがすごい!」にも投票しているミステリーの愛読者。そんな目利きの正蔵さんが、わざわざ編集部に電話を入れ「続編も読みたい」と言ってくれたことが本当に嬉しく、これはなんとしてもシリーズ第2弾を日本で出さなくては、と密かに心に誓ったのでした。そして幸いにも、たくさんの好意的な書評や読者レビューがあがりました。「わかりやすい勧善懲悪。こういうのが読みたかった!」「ドラマティックでわくわくする」「爽快!」などなど。続きが読みたいという声も多数頂き、ついに念願の続編刊行となりました。
前作は、失意の老いぼれ教授トムと、就職で躓いた教え子の弁護士リックが正義のために法廷で闘う姿を描きましたが、その中で読者の人気が高かったキャラクターが、落ち込む彼を全力で挑発し、再びトムを闘いの場に引きずり出した元教え子の黒人弁護士ボーでした。今回はそのボーが主役。前作でトムを挑発する時にボーが語ったある不幸な事件が、今作の主題材。ミステリー色の薄い前作に比べ、こちらは堂々ミステリー。あっとおどろくどんでん返しも楽しめます。ですが、根底に「正義」「友情」というテーマがあることは変わりません。
そして本書の巻末には、正蔵さんによる解説原稿を収録。原稿を受けとった時、熱い言葉の数々に私も思わず目頭が熱くなりました。
「命をはって守る友がいるのか」「信じられる仲間がいて、その仲間からも信じられているのか」……。
アメリカではシリーズ第3、4作もすでに発売しています。続編も日本で紹介できるよう、ぜひ手に取って読んでみてください。そして新年から胸アツになってください!