◎編集者コラム◎ 『骨を弔う』宇佐美まこと

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『骨を弔う』宇佐美まこと


骨を弔う

「愚者の毒」で日本推理作家協会賞長編及び連作短編部門を受賞し、「展望塔のラプンツェル」で本の雑誌ベスト10の第1位に選出された宇佐美まことさんが「長年、ずっと書きたくて温め続けてきた」という長編ミステリーです。

 小学校時代の同級生たちが興じるようにして山中に埋めた骨格標本。だが、それは本当に標本だったのか。そのときに何が起きていたのかを、三十年近くの時を経て、齢を重ねた彼らが探っていく、というのがメインストーリーになります。

 誰が、なぜ、どうやって事を為したのか。そこは、もちろんミステリーである以上、本書のポイントになってはいますが、かつての記憶を紐解くうちに、揺さぶられることになる四十を迎える今の彼らの生き様に、しだいに作者の筆は照準を定めていきます。

 それぞれの人生のなかで、簡単に割り切ることのできない様々な思いが、彼らに最終的にどんな作用を及ぼしていくのか。善悪の向こう側にある、人間の不可思議さを思わずにはいられない、そんな読後感を何度読んでも感じずにはいられませんでした。

 若いころから、ずっと小説を書きたかったけれど、ご家庭の事情などもあり、ようやくデビューされたのが、今から十年以上前の五十歳の頃。宇佐美さんのように遅咲きデビューの小説家として活躍する書き手の方は、これからも増えていくように個人的には感じています。

──『骨を弔う』担当者より

骨を弔う

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