田島芽瑠の「読メル幸せ」第49回
第49回
5月になりました🎏
なんだかずっと足元が浮いているかのような感覚だった4月が終わり。夏の日差しを感じ始める今日この頃。皆さんいかがお過ごしですか?
「吉祥寺ルーザーズ」のドラマ撮影や舞台など、嬉しい事に、ボーッとする時がない毎日を送らせていただいています。あれしなきゃ!って追われてる毎日が理想で、だからこそ今とてつもなく充実感と有り難みを感じています。心が燃えますね。
さて、今回ご紹介するのは本谷有希子さんの『あの子の考えることは変』です。 タイトル通りとにかく変。変なんだけど癖になるそんな女性2人の同棲生活を描いた物語です。
年齢も23歳とか同居生活とか吉祥寺も出てきたりして、ドラマと重なったりなんだか縁があるなと思いながら読み進めていきました。
お互いにしか分からない言葉があったり、相手の考えていることがなんとなくわかる。そんな関係ってなかなか生まれないものですよね。相手の受け取り方がわからないからこそ「今の大丈夫かな?」って不安になったりするじゃないですか。人間関係って難しい。10代の頃はとにかく色んな人に会ってその場で笑って「はい解散!」って感じで、広く浅くな付き合いが多かったけど、ちょうどコロナ禍になって会う機会が減ってから友達ってなんだろうって思い始めてきちゃって。だからこの2人の見えない絆があって、2人だからこそ成立する会話を聞いてると意味わかんなくていいなって思えるんです😂 羨ましい2人です。最後まで空気感がずっと変わらなくてなんだかんだ2人の生活は続いていくんだろうなーって。この、わかるようでわからない絶妙なラインで物語が進むからこそ入りきれない2人の世界が好きなんです。ちゃんと踏み込めない領域があるのが良い。線引きされると余計に2人の空間が尊いものに感じるんですよね。
肩の力が抜けて一息つける作品です。ボリュームもそんなに多くないので忙しい方には特におススメです。何気ない気持ちでページを開いたら、手を引っ張られてあっという間に2人の世界に飛び込めます。一旦自分の抱えているものを忘れてサクッと読みたい時に是非この作品を思い出してみてください。
それでは、良い本の旅を。田島芽瑠でした。
(次回は6月中旬に更新予定です)