上田早夕里

今月のイチオシ本【歴史・時代小説】
 実在した上海自然科学研究所の研究者が、戦時下の上海で細菌兵器の謎を追う『破滅の王』が直木賞候補になった上田早夕里の新作は、やはり戦前の上海を舞台に日中戦争の和平交渉を描いている。一九三九年、今井武夫陸軍大佐らが中心となり、蒋介石と和平交渉をする「桐工作」が進められた。当時の中国は親日派の汪兆銘と対日強硬派の蒋介石が争