柚月裕子

 選考委員の満場一致で第三回警察小説大賞を受賞した直島翔の『転がる検事に苔むさず』は警察小説ならぬ「検察小説」である。当該ジャンルの先達といえば、柚月裕子の名が挙がる。大藪春彦賞受賞作『検事の本懐』を含む〈佐方貞人シリーズ〉において検事を主人公にしたミステリーを書き継いできた。検察は、警察や弁護士と比べ、圧倒的に秘され
柚月裕子さん
 平成一〇年一二月、法廷に立った検事が住居侵入および窃盗で起訴された被告人に対し、無罪の論告(検察官が裁判官に、被告人に対して無罪の判決を出すよう要請すること)をおこなうシーンで第一編「裁きを望む」は