『超短編! 大どんでん返し Special』ならこれを読め! 書店員の〈推しどんでん〉ベスト3 ∵ 第2回
わずか2000字で世界が反転するショートストーリーのアンソロジー『超短編! 大どんでん返し Special』が好評発売中、早くも重版が決定しました。豪華執筆陣によるバラエティ豊かな34話を収録した1冊は、「中でもどれが好きだった?」と話が盛り上がることもしばしば。というわけで、書店員の皆さんにも〈推し〉のどんでん返しを聞いてみました!
★皆さんもぜひ、「#推しどんでん」でお気に入りを教えてください。
① 「二人のマリーテレーズ」真梨幸子
何とも言えないこの気持ち。「あ、え?? そういう事??」しか出てこない。すごく面白い作品でした。
② 「焼きそば」新川帆立
切ない。すごく切ない……。さすが新川ワールド!!!
③ 「富士山のように」宮島未奈
女って怖い。が率直な感想です。読み終えて、「何てこった!!」と思いました。
1位 「真実は瞳に」加藤シゲアキ
カフカの『変身』を引き合いに出した最初の1文のつかみがまず愉快で、「おっ、おもしろそう」と惹きつけられ、意外でユーモラスな展開の中盤(わたしは何を読んでいるのだろう……)、そしてその冒頭の1文が最後の2文に着地する。予想がつかないのに結末はこれしかないという完璧すぎる構成にうっとりしました。ショートショートの教科書に載せたいくらい見事でした! スタンディング・オベーションしたい!
2位 「計算上正確に分解された屍体」北山猛邦
タイトルのとおりバラバラにした屍体をどうやって隠匿するか。古今東西数えきれないほどのミステリ作家が挑んできた「屍体処理」の、あまりにも斬新で大胆な解決方法に絶句。そしてその露見のしかたも、脳内に映像としてしっかり刻み込まれます。そんなん無理やろ! とツッコミをいれるのが野暮なショートショートならではのバカミスネタで大好きです!
3位 「イズカからユウトへ」浅倉秋成
告白に対する返事の軽いノリのメールの応酬。そのかわいらしさにははは、なんて笑っていると。真相がわかって驚愕、まさかと思ってもう一度じっくり全文を読めば、たしかに厳密に計算された文章だったことに気づいて、戦慄。2度驚く仕掛けに舌を巻きます。
限られたページ数の中で繰り広げられる多種多様の「どんでん返し」。
作者を意識せずにまずは一読。
目次を見て「え? この作家さんも」と再読。
読み返して「おっ」となった作品の中から厳選した「私の推しどんでん」3作品を紹介。
・導入部で想定していた煌びやかなシティポップの世界から見事なまでに首根っこつかまれひっくり返された。「二十三時、タクシーは西麻布へ」麻布競馬場
・日常の平穏な暮らしに届いた過去からの執着。薄皮1枚下の激情をにじませる文体に驚くとともに作者名を見て更に驚いた。「こんな作品も書くのか!」「富士山のように」宮島未奈
・ザ・王道とも言えるキレの良さ。どんでん返しの真骨頂を味わえる。「契約書の謎」柚月裕子
『超短編! 大どんでん返し Special』の名に恥じない「どんでん」が詰まった1冊。
(次回は2月11日公開予定です)