白石一文

◇長編小説◇白石一文「道」連載第2回
2 フクホク食品黒崎工場は、一九八五年(昭和六十年)操業開始という年季の入ったカップ麺製造工場だが、管理の行き届いた実に清潔な工場だった。フクホク食品との縁は、この会社の品質管理担当を務めている西嶋常務が功一郎の著した『食品の品質管理 ここがツボ!』(小学館)の改訂版を読んで
◇長編小説◇白石一文「道」連載第1回
第一部 1 二〇二一年二月十九日金曜日。帰宅は午後十一時過ぎだった。今週はシフトをずらして、夕方には帰宅できるようにしていたが、今朝、出勤してみると三日前に出荷したデコレーションケーキのクリームに糸くず状の異物が混入していたとのクレームが発生しており、慌ててラインをストップしてスタッフ総動員で原因究明に当たらなくてはな
白石一文さん『一億円のさようなら』
十二年前のメモ書きから生まれた小説  もしも長年連れ添ってきた配偶者が、巨額な資産を隠し持っていると分かったら? そんな現実にはありえなそうな、しかしちょっぴり夢見たくなるような出来事を発端に、意外性