醤油と洋食
あんな女いなければいいのに、と思ったことはないだろうか。私はある。一番仲がいいと思っていた友達が、自分以外の子と仲良くしているのを見た時。彼氏の携帯に元カノの連絡先が残っているのを知った時。自分が大切にしている人や場所が奪われそうになった時、私の中に潜んでいたどろりとした感情が鎌首をもたげてくる。今村夏子の最新作には
「うちの旦那が甘ちゃんで」や「金四郎の妻ですが」などの文庫書き下ろしシリーズで人気絶好調、時代小説の旗手である神楽坂淳先生の最新作が本作『醤油と洋食』。小学館文庫の既刊『うちの宿六が十手持ちですみません』と『大正野球娘。』では、江戸時代と大正時代を描いていただきましたが、今回は明治時代の麻布周辺が舞台となります。その本