9月9日9時9分

 主人公は、高校一年生の漣。父親の海外赴任に伴い、保育園の年長の時から中二で帰国するまで、八年間タイのバンコクで暮らしてきた。漣には歳の離れた姉・まどかがいて、彼女は漣がバンコクにいる間に結婚し、離婚していた。今は実家に戻っているまどかは、漣の記憶にある彼女とは別人のようになっていて、両親も漣も、まどかに対しては腫れ物に触るように接している。
9月9日9時9分一木けいさん三浦しをんさん対談
〝エモい〟作家の過剰な情熱 鮮烈なデビュー作『1ミリの後悔もない、はずがない』以来、恋愛や家族にまつわる苦しみを真正面から描き、女性読者の共感を集めている一木けいさん。最新作『9月9日9時9分』は、10代の男女が許されない恋に向き合う、日本とタイを舞台にした恋愛小説です。
「推してけ! 推してけ!」第4回 ◆『9月9日9時9分』(一木けい・著)
評者・浅野智哉(ライター・著述家) 南国の果実のように鮮やかな飛躍 何人もの実力派を輩出してきた新人賞『女による女のためのR─18文学賞』で、近年最高の収穫作家と呼べるのが、一木けいだ。2016年、読者賞となったデビュー作を収録した『1ミリの後悔もない、はずがない』が、アーティストの椎名林檎から絶賛され、1作目にして話題をさらった。続けて発表した『愛を知
一木けい『9月9日9時9分』
いつも言葉を探している 「嫉妬」と「埃」の区別がつかない。どちらのタイ語も無理やりカタカナにすれば「フン」だ。ネイティブの発音を聴くと違うのはわかる。でもその通りの音を正確に出すことができない。舌や歯などついているものは同じなのにどうして、といつも思う。