奥野じゅん『午前二時不動産の謎解き内覧』
死ぬ0.1秒前、人は何を思うのか?
はじめまして。奥野じゅんと申します。
主にミステリで、キャラクター同士の会話が面白い物語を目指して書いております。
今回は、1/7発売の拙著『午前二時不動産の謎解き内覧』のご紹介ということで、まずは本作のあらすじを3行で表してみます。
①ミステリアスな不動産屋さんと
②それぞれ事情のある入居希望者たちが
③ワケありのお部屋で亡くなった方々の謎を解き明かす
というお話です。
皆様は「ワケあり物件」「事故物件」と聞いて、どんな印象を受けますか?
一般的には、怖いとか不気味だといった感想になるかと思いますが、小説丸をお読みの方は、もしかしたら「面白そう」になるかもしれませんね。
ミステリやホラー小説において、事故物件は魅力的な題材です。
人の死や、死んだ人が残した痕跡は怖いし、死体があった場所は怖い。
でも、人は怖いものを見たい。
だから事故物件の小説は面白いのだと思いますが、今回わたしが書かせていただいたのは、それとは少し異なります。
『午前二時不動産の謎解き内覧』の舞台は、凄惨な殺人現場や呪いのスポットではなく、どこにでもいそうな「普通の人」が住んでいたお部屋です。
どんな人であっても、この世界から命がひとつ消えるとき、同時にたくさんの謎が生まれます。
なぜ死んでしまったのか。遺品の中から出てきたこれは何か。死ぬ0.1秒前、その人は何を思ったのか?
午前二時不動産では、紹介の条件に【部屋の謎を解くこと】というルールを設けています。
よって、各章主人公の入居希望者は、通常の物件案内では絶対に知ることはない、その部屋の中で営まれていた誰かの暮らしや、亡くなるまでの過程を想像し続けることになります。
謎を解かなければ入居できない——妙な条件の不動産屋さんと一緒に解き明かした謎の先に、何があるのでしょうか。
カバーは、イラストレーターのsekudaさんと、装丁家の西村弘美さんが制作してくださいました。
美しい装画の中に、とある「隠し要素」が入っています。
営業時間はAM2:00-4:00だけの『午前二時不動産』。
三軒茶屋の片隅から生まれる物語を、ぜひ書店でお手に取っていただけたらうれしいです。
奥野じゅん(おくの・じゅん)
神奈川県出身。『江戸落語奇譚 寄席と死神』で第6回角川文庫キャラクター小説大賞優秀賞を受賞し、デビュー。その他の著書に『江戸落語奇譚 始まりと未来』『雨月先生は催眠術を使いたくない』がある。
【好評発売中】
『午前二時不動産の謎解き内覧』
著/奥野じゅん