新刊エッセイ

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今野 敏『ボーダーライト』
21年ぶりのオズヌ降臨 『ボーダーライト』には、呪力をあやつる謎の高校生が登場します。そう、『わが名はオズヌ』のオズヌ(役小角)です。同作が出版されたのは2000年ですから、21年ぶりの降臨になります。ずいぶんとご無沙汰でした。
佐野 晶『毒警官』
呑み会の天使たち 自宅のテーブルの上に、いかにも刷り立ての真新しい〝毒の事典〟めいた本があった。手にしてページをめくっていると、妻(実用書編集者)が「毒の本って売れるんだよ」と言いだしたもので、目の色が変わった。さらに妻が「みんな毒が好きなんだろうな」と分析。
下村敦史『アルテミスの涙』
20作目 『闇に香る嘘』(講談社)で第60回江戸川乱歩賞を受賞してデビューしてから早くも7年。『生還者』(講談社)、『真実の檻』(KADOKAWA)、『黙過』(徳間書店)、『刑事の慟哭』(双葉社)、『悲願花』(小学館)、『同姓同名』(幻冬舎)、『ヴィクトリアン・ホテル』(実業之日本社)等々、各社で警察小説や医療ミステリー、山岳ミステリー、冒険小説と様々なジャンルの作品を書いてきました。
直島 翔『転がる検事に苔むさず』
自己都合的な仮説「読めれば書ける」は本当か 本の話です。かれこれ三十数年前、東京で学問に身の入らない大学生をしていたころ、図書館で挫折を味わったことがあります。
長岡弘樹『教場X 刑事指導官・風間公親』
記憶に残る指導官 これまでの人生で、「指導官」と呼ばれる人物から何か教えてもらった経験があるだろうか……。しばらくのあいだ考えてみたが、心当たりは一つだけだった。自動車学校での教習である。
南 杏子『ヴァイタル・サイン』
追いつめられないでほしいから 主人公が女性医師でない物語を書いたのは初めてです。医療現場で患者さんや家族に最も近い存在が看護師さん。命の最前線にいる緊張やストレスがあるにも関わらず、決して逃げずに献身的で、共感力があり、いつも笑顔を見せてくれます。そんな姿がとても魅力的で、神々しさすら感じていました。
はじまりの物語 子どもの頃、寝るまえに母から絵本を読んでもらうのが習慣だった。カラフルなイラストで彩られた数多の物語はいつだって魅力的で、僕はその時間が大好きだった。
渡辺 優『アヤとあや』
仮病で休んだ平日の午後 最初は、幼い子供を主人公に、ほのぼのとしてささやかな冒険物語のようなものが書けたらと思っていました。身体の小ささと相対して周りを取り巻くすべてが大きく見えたあの頃。家や教室や校庭、細い緑道や公園が人生のすべてだったあの頃。あの頃の瑞々しく繊細な視線で、世界のあれこれを描けたらと思ったのです。
浜口倫太郎『ワラグル』
デビュー10年でついに書けた漫才師小説 僕は今年で小説家デビュー十年目なのだが、この『ワラグル』はまだ小説家になる前からいつか書こうと考えていた。僕のデビュー作となる『アゲイン』は、お笑いあをテーマにしたものだ。僕は放送作家をやっていて、お笑いの世界はよく知っていたからだ。
あさのますみ『逝ってしまった君へ』
はじめて知る感情 2019年1月。一本の訃報が届きました。二十年来の友人ではじめての恋人でもあった「君」が、自ら逝ってしまったという知らせでした。最初は、驚くことすらできませんでした。あまりにも予想外すぎたのです。
大貫智子『愛を描いたひと イ・ジュンソプと山本方子の百年』
母親として、女性として、生き方を学んだ5年間 思春期にさしかかった息子の声変わりが始まった。時々私に隠し事をしたり、嘘をついたりする。こんな時、山本方子さんはどう子供と接していたのだろう。方子さんの夫は、韓国を代表する画家・李仲燮である。故郷は現在の北朝鮮で、朝鮮戦争により方子さんや2人の息子とともに韓国に避難した。
夏川草介『臨床の砦』
コロナ最前線の砦から 本書『臨床の砦』は、コロナ診療の最前線を描いた小説である。最前線といっても、人工呼吸器やECMO(体外式膜型人工肺)が登場するような高度医療機関ではない。呼吸器内科医も感染症専門医もいない、地方都市の小さな感染症指定医療機関が舞台である。
長崎尚志『キャラクター』
十年、二十稿のシナリオから生まれた小説 画力は抜群だが、マンガ家として一本立ちするには何かが欠けている青年——万年アシスタントに甘んじていた彼が、たまたま猟奇殺人事件を目撃してしまう。青年はその犯人をモデルにマンガを描き大ヒットするが、一番応援してくれたファンは、当の殺人鬼だった……!?
佐々木裕一 『義士切腹 忠臣蔵の姫 阿久利』
忠臣蔵の執筆は時代小説作家の義務 題名は、ある編集者さんから言われた言葉です。私は広島県三次市で生まれ育ち、幼い頃から時代劇が大好きでした。四十歳を過ぎた頃に、「読む時代劇」をテーマに時代小説を書きはじめました。時々、小説のネタに詰まることもあります。そんな時知人から、「三次にはいい材料がたくさんあるでしょ」と、ヒントをいただきました。  
遠田潤子『緑陰深きところ』
二人の旅が皆様の心に残りますように。 高校生の頃、文化祭で有志が上映した「真夜中のカーボーイ」を観ました。ダスティン・ホフマンとジョン・ボイト演じる、ダメ男二人の友情を描いたロードムービーの傑作です。私は映画に没入し、ラストにはボロ泣きしました。映画を観てあんなに泣いたのは「砂の器」以来です。
東川篤哉『新 謎解きはディナーのあとで』
コロナ禍はミステリではありません このたび『新 謎解きはディナーのあとで』が刊行の運びとなりました。執筆期間は一昨年の終盤から今年の正月まで。したがって五本収録された短編のうち四本までが、昨年春以降のコロナ禍において執筆されたものとなります...
関口英子『戻ってきた娘』
岩に咲く一輪の花 「13歳のとき、もう一人の母親のことはわたしの記憶になかった。」という一文から始まるこの小説、10行にも満たない第1章で、早くも読者を物語の世界に引きずり込む魔力を持っている。いったいこの少女になにが起こっているのか。なぜ会った記憶もない実の母親の許に戻されることになったのか。
辛酸なめ子『電車のおじさん』
おじさんだらけの日本で、おじさんへの応援と感謝を込めて……  日本の平均年齢は47歳、という数字を先日目にしました。日本はほぼおじさん、おばさんだらけの国。それなのに存在感が薄かったり、力を発揮できない中高年世代が多い気がします。森首相の女性蔑視発言は問題ですが、おじさんたちも虐げられているように思います。家庭では疎まれ、仕事場では時代遅れだと言われ……。