◎編集者コラム◎『いつも私で生きていく』草笛光子

 ◎編集者コラム◎

『いつも私で生きていく』草笛光子


いつも私で生きていく 草笛光子

 その美しすぎるグレイヘアと、気取らない生き方が、女性の憧れの存在として人気を集めている。と知ったのは昨年秋頃でした。今年3月にはファッション写真集も発売となり、更なる話題を呼びました。そんな草笛さんが6年前に出した自叙伝は草笛さんの人生を余すところなく語った素晴らしい本でした。その本に、新たなインタビューを加えて文庫化したのが今回の1冊です。女優としての人生、美を保つたための美容法と健康法、人との交際術、そして老いとの付き合い方、これからの人生設計まで。ユーモラスを交えてその素顔が生き生きと語られています。

 普通、文庫の場合、カバー写真などは事務所さんから借りたアーチスト写真を使うことがほとんどです。しかし今回は異例ですが、草笛さんの美しい表情を読者に見てもらいたいという思いから、カメラマン撮り下ろしになりました。

 某月某日。都内のハウススタジオに集まったのは、業界でも凄腕のスタッフの方々です。

 前日に国民的男性アイドルグループを撮影してきたカメラマン。海外アーティストとの仕事も多い、カリスマスタイリスト、そして長年草笛さんを担当してきた超ベテランヘアメイクアーティスト……。薄曇りが気になる中、午前11時に草笛さんが登場。ラフ&シックな姿から、大女優のオーラがスタジオ中に満ちます。しかしとても気さくな草笛さん、スタッフとは顔なじみということですぐにリラックスムードに。別室でヘアメークが始まって、約1時間。あのグレイヘアをゴージャスに結い上げ、マニッシュなブレザーを着こなした、美しすぎる姿がスタジオに。カメラマンには「何でも言ってね、どんなポーズもするわよ」といいながら、ポージング。専属トレーナーについているだけあって足を上げたり回ったりと、とても84歳!には見えないしなやかさで、撮影はあっという間に終了。その後の「文庫のためのあとがき」用のインタビューも「何でも聞いてね」と30分以上も近頃の草笛ライフを楽しそうに語ってくれました(中身はぜひ文庫でお読みください)。素敵すぎる写真の中から、一番草笛さんらしい美しさを表しているものを、草笛さんとともに選んだものが今回のカバーになりました。

 そして、巻末エッセイは草笛さんと親交の深い女優の中谷美紀さんです。こちらも読み応えありです。合わせて楽しんでいただければと思います。

──『いつも私で生きていく』担当者より

いつも私で生きていく 草笛光子

草笛光子さんへのインタビューもお楽しみください。
▶︎「草笛光子」という生き方。[前編]
▶︎「草笛光子」という生き方。[後編]
​​​​​

芥川賞作家・三田誠広が実践講義!小説の書き方【第49回】小説とは時代を写す鏡
出口治明の「死ぬまで勉強」 第4回 世界に取り残された日本