伝統芸能に魅せられる
日本の伝統芸能に興味はありますか?
気にはなるけどなかなか知る機会がない、色々と難しそう、と感じてしまいがちかもしれません。私自身TV等で観ていても、よく解らず難しいものと感じていました。けれど実は知れば知るほど面白い世界だったんです。
そんな伝統芸能に少しでも興味を持つきっかけになれば良いなと思う本を紹介します。
『ねむりねずみ』(近藤史恵著)
近藤史恵さんといえば『サクリファイス』等の作品が有名ですが、この作品は華やかな梨園の世界をテーマにした歌舞伎ミステリです。
私立探偵の今泉文吾と女形役者の瀬川小菊の二人が上演中に起きた殺人の真相に迫ります。事件の関係者への聞き込みを進めていきますが、関係者は梨園に縁のある人ばかり、物語が進むにつれて華やかにみえる世界の裏事情までもが見えてきます。読めば読むほど引き込まれる世界観に興味がなかった人ほどハマってしまうかもしれません。
そんな世界に夢中になった高校生の話が、
『カブキブ!』(榎田ユウリ著)
祖父の影響で大好きになった歌舞伎を「演じる」ための部を作ろうと主人公の来栖黒悟(クロ)は奮闘しますが上手くいきません。それでもクロはあきらめる事なくまずは同好会を作るためのメンバー集めに学校中を走りまわります。 そんなクロの周りには次第に人が集まり始めます。無口な幼馴染、演劇部のスター、オネエな日本舞踊経験者といった個性豊かなメンバーと共に無事に歌舞伎を上演する事は出来るのか! 自分も一緒に青春しているかのような感覚でワクワクしながら読める作品です。
歌舞伎寄りになってしまったので最後は、
『白日』(北方謙三著)
「能」に関する作品です。といっても演じる方ではなく「能面」を作る「面打ち師」の話です。天才といわれた一人の男の転落と再生への道のりが濃く描かれています。役者が表情を変えながら演じるさまに一つの面で喜怒哀楽すべてを表現する、その面を作る面打ち師の技術と誇りは私達の想像を遥かに超えていて葛藤さえもカッコイイと感じてしまいます。男性寄りの視点の作品ではありますが、普段触れる事のない世界をぜひ味わってみてください。