◎編集者コラム◎ 『さんばん侍 利と仁』杉山大二郎
◎編集者コラム◎
『さんばん侍 利と仁』杉山大二郎
タイトルを一目見て、「〝さんばん〟って、なに?」と思った方もいるかもしれません。「さんばん」を漢字で書くと、「算盤」。そう、皆さんがよく知っている「ソロバン」なのです(若い方は現物を見たことのない方もいるかもですね。汗)。
江戸時代には「さんばん」と呼んでいたそうですので、この作品では「さんばん」という呼び方を採用しています。
また、呼び方だけでなく、江戸時代には珠(たま)の数も違って、上下を分ける梁(はり)の上側には、珠が二個あったそう。ちなみに、1570年代にはすでに使われていたと考えられている「ソロバン」が現代の珠数になったのは、昭和十年(1935)に小学校の教科書の改訂されたことがきっかけらしいです。
さてさて、「さんばん」の歴史はこれくらいにして、話を内容紹介へと移しましょう。本作の醍醐味は、主人公の鈴木颯馬が立ちふさがる数々の危機を、商人にとって神器とも言える「さんばん(=知恵)」を使って乗り越えていくところ。その危機がどんな中身なのかはお読みいただくとして、颯馬を危機に陥れるのは、日本史上、賄賂で悪名高い田沼意次。
なんでも、颯馬が恩義を感じている駿州田中藩が借金している酒問屋麒麟屋を潰すことで、田中藩が共倒れになることを企んでいるらしいのです。もちろん、颯馬は「そうはさせじ」と、あらゆる知恵・手段を使って、麒麟屋の人たちと力を合わせて危機を乗り越えていくのですが、著者の杉山大二郎先生が、現実の世界で営業革新分野における国内第一人者ですから、その対応策の説得力が違います。超絶有能ビジネスマンが描いた、江戸時代における企業の危機と再建策とは、一体どんなものなのでしょう?
ぜひ、お手に取ってご堪能ください!
──『さんばん侍 利と仁』担当者より
『さんばん侍 利と仁』
杉山大二郎