『自転しながら公転する』山本文緒/著▷「2021年本屋大賞」ノミネート作を担当編集者が全力PR

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読者や書店さんとSNSで繋がる


 山本文緒さんの7年ぶりの小説『自転しながら公転する』は、アパレルで働く32歳の都という女性が主人公。恋愛をして、家族の世話もしつつ、仕事も全力でがんばるなんて、そんな器用なことできない! 毎日ぐるぐると思い悩む彼女の姿を描いたこの小説には、「私のことかと思った」「身に覚えがありすぎ」「わかる!わかる!」などの共感の声が本当にたくさん寄せられました。

 本書は新型コロナ感染拡大のために2020年春から秋へと刊行が延期になり、書店さんや読者の方々と接することもできなかったので、宣伝にはSNSを最大限活用することにしました。もともと山本さんはインターネットの世界に早い時期から親しんでいて、個人の twitterインスタのアカウントをお持ちでしたので、さらに本書の公式アカウント(twitterインスタグラム)を作成、編集担当とWebデザイナーのNとでお手伝いすることに。

『自転しながら公転する』山本文緒/著
インスタライブ開始時

 読者からの感想を募ってプレゼントキャンペーンを行ったり、書店員さんから届くたくさんの感想を毎日SNSで紹介させていただいたり、本書の名言、名文を読者から募ってインスタのストーリー機能で紹介させていただいたり。最も盛り上がったのはインスタライブで、予想外にたくさんの方に見ていただけました。当初は山本さんの誕生日と重なる日にちだったので、御祝のサプライズを用意したのですが、3日前に山本さんがまさかの発熱。検査の結果、ただの風邪だったので日を改めてインスタライブを開催しました。そこにタイミングよく重版が決まって、今度こそサプライズで御祝できたのですが、リアルタイムで読者の方から感想や応援メッセージをいただき、一緒に祝ってもらえるなんて、SNSってすごい……とみんなが感動したイベントでした。ライブで紹介しきれなかった質問には後日、丁寧にインスタでお答えして、さらに毎日、読者の感想をRTや「いいね!」をして下さっていて、もちろん山本さんがとてもマメでSNSが得意だったこともありますが、リアルのイベントやサイン会よりも著者と読者とのつきあいも濃くなった気がします。インスタライブのアーカイブは公式アカウントにありますので、ぜひご覧いただけたら。

 またSNSの公式アカウントを活用されている書店さんも多く、店頭での展開の写真や、著者サイン色紙を飾っている写真をあげて下さったり、訪問できない書店さんとも繋がった感じがあって、これまでより一層、距離を近く感じられました。刊行から半年近く経っても、著者のアカウントも公式アカウントも活発に更新していますので、この機会にたくさんの方に見ていただけたらうれしいです。

──新潮社 出版部 桜井京子


2021年本屋大賞ノミネート

自転しながら公転する

『自転しながら公転する』
著/山本文緒
新潮社
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