◎編集者コラム◎ 『狩られる者たち』著/アルネ・ダール 訳/田口俊樹、矢島真理

◎編集者コラム◎

『狩られる者たち』著/アルネ・ダール 訳/田口俊樹、矢島真理


 いったい私は何を書けばいいんだ…。

 こんにちは。小学館文庫の翻訳書担当者です。

 先ほどから私は、PCを前に悶々としています。まさに出口の見つからない迷路に紛れ込んでしまった鼠状態です。すみません、正直、自分でも何を言っているんだかわかりません。

 なぜこんなに私は悩んでいるのか。

 昨年刊行したスウェーデンの超人気作家アルネ・ダールの新シリーズ第一作『時計仕掛けの歪んだ罠』。翻訳者の田口俊樹さんにとっても担当者の私にとっても、想像を遥かに超える高評価を各方面から頂きまして、年末ミステリーランキングの上位に顔を出すことが出来、本当に本当にありがたい限り。おかげさまでこのたび、第二作『狩られる者たち』を無事刊行出来ることとなりました!!第一作を推してくださった皆さまに、この場を借りて厚くお礼を申し上げます。

 あ、で、何を悩んでいるかの話でしたね。

 いや、このシリーズ、本当にちょっと他に類を見ない破壊力を持ったページターナー本でして、第一作をお読みになった方ならおわかりかと思いますが、まさにいい意味での「裏切りに次ぐ裏切り」。あ、こういう話ね、と思った途端、とんでもない明後日の方向に話が進み、え、そこ行くか!?ええっ?今度はそこ!?と、茫然とすることたびたび。

 そんなお話なので、何を書いてもネタバレになってしまうんですよ……!!

 前作の時も、カバーや帯まわりのキャッチコピーやあらすじ紹介は相当慎重に、と心していたものの、いざ書こうと思うと「これ、何も書けないやつじゃん!」とリモートワークしながら逆ギレしまして。でもでも、こんな私にもなけなしの編集者の意地があり、抽象的なキャッチコピーに逃げたくない、「あ、よくあるやつね」と書店店頭で素通りされたくない、何とかして自分が一番衝撃を受けたことを匂わせたい…!と悶々と悩むこと数日。最後は「ええい、ままよ!」と半分ひんしゅく覚悟で入稿しました。

 はい、すみません、予想の通り、方々からお叱りを頂きました。「ネタバレじゃん」。……ホント申し訳ありません! すべては私の編集能力の不足から。深く反省しております。

 で、今度こそ!と臨んだ第二作。正直、作品の魅力がどこまで伝わっているか、私にもわかりません。今もドキドキしております。でもこれだけは言えます。本当に面白い小説です。ぜひぜひ、手に取ってパラパラめくってみてください。そしてもし「ネタバレじゃん!」と思ったら、遠慮なく、でもちょっとやさしめにご指摘いただければ幸いです。

──『狩られる者たち』担当者より

狩られる者たち

『狩られる者たち』
著/アルネ・ダール
訳/田口俊樹、矢島真理

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