◎編集者コラム◎ 『いちからはじめる』松浦弥太郎
◎編集者コラム◎
『いちからはじめる』松浦弥太郎
いちからはじめると
自信が湧いてくる 味方が集まってくる なりたい自分になれる
人気エッセイストで元暮しの手帖編集長の松浦弥太郎さんの新刊『いちからはじめる』で読者に伝えたいメッセージは、このオビの言葉が物語っている通りです。この言葉を読むと、何やら自分の心の中に、前向きな気持ちと希望が満ちてくる気がしませんか? 松浦さんはこう書きます。「すてき、成功、なりたい自分の定義はとてもむつかしくて人それぞれですが、どんな定義であろうと、多くの人にとっての願望であり、羨望であり、夢だと感じます。そのすべてをかなえるのが、『いちからはじめる』。ただこれだけです」。
松浦さんのこの言葉を読んで「そんなことは無理だ」「もう若者ではないから意味がない」と感じる人は多いでしょう。しかし、重要なのはゼロではなくていちからはじめるということなんです。「自分の殻を破り、まっさらになるとは、全部を捨ててゼロになることと似ていますが、いささか違うことです。それはこれまでの経験やデータを消去するのではなく、いっさい依存しないということ」。松浦さん自身、暮しの手帖社を辞めて、雑誌の世界からWEBの世界に軸足を移すことを決めた時に、同社で得たノウハウ、人脈を全て置いてきたそうです。そのデータをコピー&ペーストすれば簡単に完成品ができてしまうからです。ただ、自分の肉体が覚えたことは決して忘れない。「いくら名刺やデータを置いてきても、自分の血となり肉となったものは消そうとしても消えません。(中略)それはすでに自分の一部なのですから。人はゼロにならないのです」。そう考えると、気負うことなく新しいことを始める勇気が出てきませんか?ゼロから始めるのではなく、いちからはじめるとすれば、自分にもできそうな気がしないでしょうか?いちから始められることはたくさんあります。「仕事」「愛情」「人間関係」などなど。この本を読めば、今日から始められるアドバイスがたくさんあります。
小学館文庫から刊行されている松浦さんの前作『伝わるちから』は、コミュニケーションに悩んでいる人へのアドバイスを書いたものですが、2017年刊行で現在、11刷 68,000部のベストセラーとして売れ続けています。今回も装丁は前作と同じく鈴木成一デザイン室さんにお願いし、イラストも同じく林青那さんの手によるものです。前作ともども、お手にとって自分を変えるヒントとして、読んでいただければと思います。
──『いちからはじめる』担当者より
『いちからはじめる』
松浦弥太郎