特別対談 松浦弥太郎 × イモトアヤコ[第2回]

特別対談 松浦弥太郎 × イモトアヤコ[第2回]

 世界の津々浦々を駆けめぐり、苛酷なロケに果敢に挑む姿が共感を呼んでいるイモトアヤコさん。彼女がいまいちばん会いたいという松浦弥太郎さんにとことん訊く、大反響スペシャル対談。待望の第二回です。

絡まりがちな人間関係の糸をほどき激変する世の中を生き抜くヒントとは
 イモトさんが多忙な日々のなか、「座右の書」として大切に読んでいる本が、元「暮しの手帖」編集長の松浦弥太郎さんによるエッセイ集『伝わるちから』(小学館文庫)です。「たくさんページを折って、たくさん線を引いて、わたしの本棚のなかで一番汚してしまった本です」と絶賛するイモトさんと、著者の松浦さんの対談が実現しました。
 仕事観、人生観、対人コミュニケーション。イモトさんの悩みに、松浦さんは多岐にわたる「作法」をアドバイス。「改めて松浦さんのことが大好きになりました」という二人の対談を、三回にわたってお送りします。

イモト
今は誰もが日常的に使うSNSですが、松浦さんはどう向き合えば良いとお考えでしょうか。

松浦
あまり気にしないのが一番ですね。例えば、僕の本を読んでくれたり、認めてくれたりしている人がいるならば、その数と同じぐらい、逆の人もいるって思っています。多様な意見があるから、読者になってくれる人がいる。バランスをいつも考えています。

イモト
バランス、はい。

松浦
良いことばかり起きると、絶対、バランスを取るみたいに、そうじゃないことが起きる。だから、両方を「受け容れる」。良い運、悪い運、両方を受け容れるというのが大事な気がするんです。

イモト
わたしも、良いことが続くと何か怖いです。「あれっ?」って。

松浦
だから、自分から転んだほうが良いな、って思う時、いっぱいありますよ。「ああ、こんなに良いことがいっぱい続いて、ちょっとバランス崩れるなあ」と思うから、ちょっと自分から転んで小さくケガしてみようかな、って。

イモト
あっはっは(笑)。なるほど。「自ら転ぼう」くらいの気持ちでいくんですね。

松浦
「失敗しようかな」「負けちゃおうかな」って。絶対、バランスってありますよ。それを受け容れると、〝プラマイゼロ〟になる。「良かった、良かった」って思います。

イモト
バランスを取る、と捉えれば、いろんなことが受け容れられそうですね。ハナからそういう、何だろうな、「仕組み」って言ったらおかしいけれど。

松浦
そうそう。

イモト
「そういうものだ」って。

松浦
自然の摂理。

イモト
そう思えば、「うんうん」って納得する。でも、やっぱり悪いことが起きた時に、どうしても反応しちゃう自分もまだいるんです。実践しながら、慣れていくしかないな、と思いますね。

松浦
けっこう、家で足の小指をどこかにぶつけたりすることってありますね。

イモト
はいはい。

松浦
そんな時「あ、これで何かのバランスがちょっと取れた」って思います(笑)。

イモト
(笑)。「ラッキー」と思えば良いんですね。

松浦
変なものとかを、散歩していて踏んじゃったら「これで何かとプラマイゼロになった!」って。

イモト
なるほどなるほど。帳尻合わせですね。

松浦
そうそう。そして、自分に対して来たコメントについては表裏一体な気がしています。「暮しの手帖」の編集長を務めていた時に、たくさんの読者からご意見をいただいたりしていたんです。でもそれは「無関心ではない」ってことじゃないですか。

イモト
うんうん、たしかに。

松浦
人を好きになるとか、愛することの反対って、憎むではなくて「無関心」だと思うんです。無関心が一番、自分にとって辛いじゃないですか。

イモト
はい。

松浦
でもネガティブでもコメントをくれる人って言うのは、少なからず……。

イモト
関心を持っているから。

イモトアヤコさん

松浦
どこかに愛情はあるんですよ。

イモト
うん、うん。

松浦
それを「暮しの手帖」の時に学んだ。自分が一所懸命、自分が信じることをやり続けていたら、ある日、そんな人たちがポジティブに応援し始めてくれて、変わった時期があったんです。辛辣なコメントは辛いし、言い訳をしたくなる時もあったけれど、頑張っていれば、関心を持ち続けてくれる人ならポジティブに変わっていく時もあると知った。「両方なんだな」って思います。もちろん、ポジティブな人がネガティブに変わることもありますが。

イモト
ありますね。

松浦
でも、関心を持ってもらえていることに僕はすごく感謝をしているし、自分にとっての価値、存在は認められているということで、良しとする。まず感謝ですよね。

イモト
たしかに、無関心が一番怖いです。

松浦
怖いし、寂しいし、辛いですよね。

何より一番大事なのは食事

イモト
じつは前からお聞きしたいことがいっぱいあるんです。(手帳を取り出し)何から伺おうかな。

松浦
手帳に書く人なんですね、やっぱり。

イモト
はい、書きます。めちゃくちゃ汚い字なんですけど。メモするように心がけています。

松浦
とても良いことですね。

イモト
わたし、最近「健康オタク」っぽくなりつつあるんですけど、松浦さんはそういうの何かやられていたりします?

松浦
ああ、ありますね。身体もそうですし、メンタルも重要じゃないですか。だから、健康を第一優先にしています。僕は、夕食を夕方の五時に摂るんですよ。

イモト
はやっ(笑)!

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