◎編集者コラム◎ 『かすがい食堂 あしたの色』伽古屋圭市

◎編集者コラム◎

『かすがい食堂 あしたの色』伽古屋圭市


かすがい食堂 カバーとオビ

 2021年3月5日、発売当日に著者の伽古屋圭市さんの「王様のブランチ」出演が決定。大きな話題となり、たくさんの方に手に取っていただいた『かすがい食堂』。その第2弾『かすがい食堂 あしたの色』が満を持して登場します!

 祖母の朝日から駄菓子屋「かすがい」を継いだ春日井楓子は、その奥で週に2日、事情を抱えた子どもたち向けの食堂を始めます。第1弾のお客さまは、ネグレクトや貧困、摂食障害など、家庭や自身の体に問題を抱えている子どもたちでした。

 お料理初心者の楓子が営むだけに、「かすがい食堂」は少し変わったシステム。買い出しも調理もみんなで行い、そろって食卓を囲みます。同じものを「おいしいね」と語り合いながら食事ができる空間でもあり、仲間の誰かの抱える問題を、みんなで話し合う場所でもあります。楓子はこの場所の役目を、「束の間の居場所と、温かい食事、そして気軽に話や相談ができる場所を提供する」ことと考えているのです。

「かすがい食堂」のオープンから1年後、中学1年生になった亜香音が、家出中の友人・彩希を連れて店にやってきたことから第2弾の物語は始まります。髪を染めたことを教師にも親にも咎められ、彩希は納得がいかないと言います。なぜ髪を染めてはいけないのか、食堂のメンバーは答えを出せるのか? 彼女の行動から別の事情を察した楓子が、食堂で出すメニューとは?

 お客さまはその後、日本人の父親とアフリカ系フランス人の母親を持つ少年、日本で働く母親に呼び寄せられたベトナム人の少女と続きます。多様なルーツを持つ彼らと過ごす中で、楓子とかすがい食堂の子どもたちは差別や偏見について深く考えることになっていきます。

 伽古屋さんは、さまざまな書籍を読み、情報を取り入れ、今回の執筆に臨んでいます。どんなことが差別になり、なぜいけないことなのか、そして私たちに何ができるのか。物語を通し、わかりやすい言葉で伝えています。エンタメ小説の枠の中で、こんな伝え方ができるのかと、原稿をいただいたとき、とても驚きましたし、たくさんの人に読んでほしいと思いました。

 と書くと堅苦しそうですが……

 子どもたちを笑顔にする温かくて美味しい料理も、国際色豊かに進化しています。これぞ「おいしい小説文庫」、読んで味わってお腹を空かせてください。子ども食堂を始めるきっかけとなった翔琉や、ごはんを食べられなかった夏蓮たちも、少しずつ成長しています。ぜひ会いに来てください!

──『かすがい食堂 あしたの色』担当者より

かすがい食堂 あしたの色

『かすがい食堂 あしたの色』
伽古屋圭市

◇長編小説◇白石一文「道」連載第12回
今月のイチオシ本【デビュー小説】