◎編集者コラム◎ 『あなたの死体を買い取らせてください』村崎羯諦

◎編集者コラム◎

あなたの死体を買い取らせてください』村崎羯諦


『あなたの死体』ゲラ写真

あなたの死体を買い取らせてください』の編集者コラムをご覧いただき、ありがとうございます。本作品の編集を担当しましたA田と申します。

 本作品は、デビュー作ながら30万部をこえる大ヒットとなった『余命3000文字』の著者・村崎羯諦先生が贈るショートショート集となります。

 村崎先生といえば、コミカルなものから感動作まで巧みに描きわける表現力の幅広さや、二度読みしたくなる、あっと驚く仕掛けを施す演出力など、読者の皆様を魅了するポイントがいくつもあげられる作家さんですが、中でも特筆すべきものとして「タイトルセンスがすごすぎる!」があると、A田は思っています。

 ということで、今回は本作品に掲載されている全24作品のうち、私の独断と偏見のみで選んだ「このタイトルがすごいよ、みんな見て見て!ベスト3」を勝手に発表したいと思います。

 まず、第3位はこちら!

『にゃんだって!?』
 ある日突然、飼い猫から人間と猫の戦争の開始を告げられた男が「にゃんだって!?」と言ったところから始まる本作。こちらのタイトル、主人公の心情とからませながら、しっかりと中身も想起できるような作りになっている点がすごすぎて……。作中の男同様、読み進めるうちに「にゃんと!」と驚くこと間違いなしのタイトルセンスでした。

 そして、続けて第2位!
『そして神様は笑った』
 こちらは高校時代に隣の席にいたはずの「神様」の存在を思い出しながら、大人になった主人公が過去と現在をめぐる物語なのですが……。

 多分、作品を読んでいない状態だと『そして神様は笑った』と、この文字だけを読んでも、何の映像やイメージもわいてこないと思うのですが、読後、このタイトルを見返すと……まあとにかく……思い出すだけでも涙がじんわりと浮かんできます……。

 詳しくはネタバレになるのであまり書けないのですが「この作品はこのタイトルしかない!」という納得感がものすごいです、読後にタイトルを見て「本当に良かったね……」と心があたたまるこの読書体験をぜひ、皆さんにも味わっていただきたいです!

 そしてそして、いよいよ第1位は……表題作でもあるこちらです!
『あなたの死体を買い取らせてください』
 突然、恋人から「君の死体を買い取らせてくれ」と言われた女性がとった驚きの行動を描いた本作。

 村崎先生とタッグを組ませていただいた前作『△が降る街』では、書籍化にあたり標題作をどれにするか、色々と意見を出し合い話し合う時間があったのですが、本作では二人ともが「表題作はこれでいきましょう!」と即決でした。

 それはそうですよね、こんな思わず二度見してしまうような、インパクトのあるタイトルって……普通、絶対に思いつけないと思うんですよ。実際、本コラムをご覧いただいている皆様も、このタイトルを見て「なんだこの作品は!?」と思いクリックしたかたも少なくないのではないでしょうか。

 ということで、ベスト3を勝手に発表してしまいましたが、その他にも「同姓同名連続殺人事件」「音楽の配達人」「反抗期予防注射」などなど――村崎先生のタイトルセンスが光る作品が目白押しですので、気になったかたはぜひ、お近くの書店様で手にとってみてください。

 以上、『あなたの死体を買い取らせてください』の編集者コラムでした。最後までお読みいただき、ありがとうございました!

──『あなたの死体を買い取らせてください』担当者より

あなたの死体を買い取らせてください

あなたの死体を買い取らせてください
村崎羯諦

ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第99回
【著者インタビュー】伊東 潤『一睡の夢 家康と淀殿』/どこにでもいるような平均的な人物として家康を描きたかった