◎編集者コラム◎ 『絡繰り心中<新装版>』永井紗耶子
◎編集者コラム◎
『絡繰り心中<新装版>』永井紗耶子
2023年に、『木挽町のあだ討ち』で、第36回山本周五郎賞と第169回直木三十五賞をダブル受賞した永井紗耶子先生のデビュー作が本書。
そして、2010年に第11回小学館文庫小説賞を受賞した作品でもあります(受賞時の題名は「絡繰り心中」。同年10月に『恋の手本となりにけり』と改題、単行本化。2014年3月に『部屋住み遠山金四郎 絡繰り心中』と改題、文庫化)。
当時はみな、とても新人とは思えない筆力にひどく驚いたそうですが、その後のご活躍を知ると、「それもそのはず」と納得してしまうのではないでしょうか。
なにしろ現在、デビューしてから13年ほど、単著の小説の上梓数は8作にもかかわらず、
- 2020年
『商う狼 江戸商人 杉本茂十郎』
▷ 第3回細谷正充賞
▷ 第10回本屋が選ぶ時代小説大賞 - 2021年
『商う狼 江戸商人 杉本茂十郎』
▷ 第40回新田次郎文学賞
▷ 第27回中山義秀文学賞(候補) - 2022年
『女人入眼』
▷ 第167回直木三十五賞(候補) - 2023年
『大奥づとめ』
▷ 啓文堂書店時代小説文庫大賞2023
と、こんなにもたくさんの文学賞の候補となり、受賞しているのですから。
折紙付きと言って間違いない、永井作品の面白さは、一体どこからやって来るのでしょう。
その面白さの謎を解くには、本作が最高の一冊になること請け合いです。
文芸の世界では、《デビュー作には、その作家のすべてが表現されている》と言われますから、デビュー作である本書をお読みいただけたら、すぐに答えが見つかるはず。
巻末に掲載されている、末國善己先生の解説も、永井作品の魅力を余すところなく紹介されていますので、ぜひご一緒にお楽しみください。
──『絡繰り心中<新装版>』担当者より