中濵ひびき『アップルと月の光とテイラーの選択』
わたしの言っていることは、アントワーヌ・ド・サン = テグジュペリの『星の王子さま』みたいだと思われるかもしれませんね。サン = テグジュペリの、「心だけが、ものごとを正しく見ることができる。大切なことは目には見えないんだよ」だとか、「地球は先祖から受け継いだものではない。未来の子どもたちから借りているだけだ」という言葉は、まさに真実そのものです。
彼は「あまりに不思議なことが起こったら、それに身をゆだねるしかない」とも言っています。
それから、わたしはこの言葉も好きです。
「未来というのは、予見するものではなく、自分で可能にするものだ」。サン = テグジュペリは1900年に生まれ、1944年に44歳でその生涯を閉じましたが、未来のことをお見通しだったみたいです。
次の世代に地球を渡すために、いますぐ行動を起こさねばなりません。
読者のみなさんがテイラーのことを猫のヨーダやアップルみたいに好きになってくれたらいいなと思います。登場人物を気に入ってほしいのです。実在していませんが、読者のみなさんに語りかけています。みなさんのことが大好きなのです。
夜空の星を見上げていると、しあわせな気持ちになります。輝く星を見ていると、つらい気持ちが和らぎ、よろこびがあふれてきます。星はわたしにインスピレーションを与え、目には見えない真実や時空のことを教えてくれます。
わたしは自然でいっぱいの場所に住んでいます。家は山に囲まれていて、よく晴れた秋の日に空を眺めていると、周囲の山々が迫ってくるように感じられます。
実際は空気中の光の屈折率のせいでそうなるのですが……神さまから語りかけられているようにも感じられます。
星や山、光の屈折率。わたしの心は悲しみや孤独感だけでなく、そういうものであふれています。
わたしは健康で、学校生活を楽しんでいます。暮らしているのは、田舎です。授業もおもしろいですが、いちばんの楽しみは何といっても友達とのおしゃべりや外国の映画を観ることです。
最近わたしは『アメリカン・スナイパー』という映画を観ました。戦争は人の心を破壊する、と思いました。「ハリー・ポッター」シリーズは、本も映画も好きです。残念ながら、わたしは日本語で小説を読んだり、映画を観たりできません。よく理解できないのです。
好きな女優はオードリー・ヘップバーンです。とてもキュートで、まるで猫みたい。わたしの姉はイギリスで暮らしていたときバイオリンを習っていて、よく「ムーン・リバー」という曲を弾いてくれました。それで、『ティファニーで朝食を』という映画を観て、ヘップバーンのことを知ったのです。彼女はいまでも世界一チャーミングな女性だと思います。姉も私も、バイオリンで弾く「ムーン・リバー」がお気に入りでした。この曲を聴いていると、センチメンタルな気分になります。
そう、動物のことも書いておかないと。動物は、まちがいなく人間と同じように心を持っています。テイラーの家族と同じように、わたしたちもヨーダという名前の猫を飼っていました。ヨーダはママの猫でした。20歳で死んでしまいましたが、最期は寝たきりになって、鳴くことすらできませんでした。
いよいよ死期が迫ったとき、ヨーダは朝の4時にありったけの力を振り絞って起き上がり、手の先でママの頬をたたいて起こし、声にならない鳴き声を上げて、それから息絶えました。ママに「ありがとう」と言いたかったのだと思います。
わたしたちはさんざん泣きました。そして、犬や猫にも人間と同じように魂があるのだと気づいたのです。今世は動物として生まれたものの、あたたかい心を持っています。
わたしはそういう考えのもとにこの小説を書きました。この作品を読んで、何かに気づいてもらえたら、とてもうれしく思います。
作者の写真を公開できなくてごめんなさい。わたしは背が高くて、運動選手のような体形をしています。いまはまだ、プライバシーを明かしたくないのです。
わたしは英語(みなさんにとっては日本語ですね)の授業と天文学が大好きです。体育も得意で、バレエとヒップホップダンスを習っていました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。みなさんのことが大好きです。
心を込めて、
中濵ひびき xxxx
(翻訳/竹内要江)