ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第64回

ハクマン第64回SNSでの宣伝は不可欠だが、
「平日の夜中12時」の
ツイートとはいかがなものか。

よって最近は、1話分丸々ツイッターに貼ってしまう宣伝が全く珍しくないし、正直それが一番拡散される。
もちろん拡散と実売が必ずしも比例するわけではないが誰にも知られないまま終わるよりはマシである。
また「○○という作品の1話試し読みです」と言って掲載するより「無表情の男がオジサンの口におむすびを詰め込んだ話」のように、読めばわかる内容をさらに口で説明して掲載した方が拡散されるのだ。

おそらく元から作品を知っている人は、なぜタイトルを言わないのか、それ以前に「○○が××する話」という構文にイラつきまくっているかもしれないが、それだけで拡散率が全然違うので大目に見てやってほしい。
また、SNSで試し読みを掲載する場合、ページ数が少ない漫画の方が有利である。
何せツイッターは1回につき4枚しか画像が添付できないため、1話が巨弾100ページとかだと、25ツイート連ねることとなり、当然読む方も面倒なので、よほど読ませる力がないと、最後の「タイトルとアマゾンリンク(アフィリエイトつき)」という一番重要な情報に辿りついてもらえなくなってしまう。

また世の中には「1話では面白さがわからない漫画」というのもあり、そういうスロースタート漫画はSNSでの宣伝で不利である。
そういう場合はもう1話目ではなく、途中でもいいから一番反響があった、もしくは最もエロいページを切り取って載せた方が拡散されたりする。

だが、そういう「刺激的な部分だけ切り取り」は「内容を大きく誤解される」というリスクもある。
このように宣伝ツイート一つするにも、どうやったら興味を持ってもらえるか色々考えているのだ。
編集の方もお忙しいとは思うが、せめて、起きている人間が多い時間帯を選んで宣伝していただけると幸いである。

ハクマン第64回

(つづく)

 
次回更新予定日
カレー沢薫(かれーざわ・かおる)

漫画家、エッセイスト。漫画『クレムリン』でデビュー。 エッセイ作品に『負ける技術』『ブスの本懐』(太田出版)など多数。

週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド vol.1 丸善お茶の水店 沢田史郎さん
翔田 寛 ◈ 作家のおすすめどんでん返し 06