ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第71回

ハクマン第71回ツイッターの「スペース」で
同業者同士、どうでもよい
世間話ばかりしている

しかしスペースは少なくとも無料版では「限られた人間だけで喋る」という行為が出来ず、開いたからには基本的に世界中の人が聞ける、という仕様なのである。

何かというとすぐお気持ちを害す我々としては正気かと思うシステムだが、ツイッター的には言葉の壁を越えて乱入ニキの方が正しく、閉じた場所で閉じた場所でしか出来ない話をボソボソ喋ろうとしているこちらの方がご乱心しているのである。

よってスペースで話すとしたらディープな話ではなく、どうでもよい仕事の愚痴ぐらいがちょうどいいのだ。むしろどうでもよくない話はスペースですべきではない。

そんなわけで、スペースでは同業者同士、全く根幹に触れないどうでもよい愚痴やもはや漫画家のトークですらない世間話ばかりしている場合が多い。

よって、もし作家がスペースを開いていていても「ここだけでしか聞けない話が聞けるかも」という過度な期待を抱いて入り「クソみたいな話しかしてなかった」とその作家や作品まで嫌いになるのはご容赦いただきたい。
むしろスペースでここだけの話をしている作家の方がヤバいのだ。
作家がスペースでクソみたいな話しかしていなかったら、むしろ「この作家はコンプラがしっかりしている」と思って安心してほしい。

ただ先日「抱かれたい男性有名人」という、センシティブかつ、名前が挙がった方に失礼になりかねない話題になったことはあった。
しかし、その場にいて喋っているのは全員おじさんだった。

ちなみに、おじさんが抱かれたいのはダントツで「キングカズ」そして「原監督」である。
小中学校のころは顔や頭よりもスポーツ、それどころか「足が速い」というだけでモテたりしたが、大人になると一周回って「やっぱりスポーツ」ということなのだろうか。
とはいえ、女の男へのセクハラが看過されているのが問題なように、おじさんがおじさんに抱かれる話はOKというのもおかしな話である。
よって今後はもっと誰の気分も害さない、純度の高いクソのような話を心がけたいと思う。

だが同業者と話すこと自体が既に10年ぶりぐらいである。
私は神が妬みとそこら辺の泥を混ぜて作った物体なので、同業者というだけで特に理由のない嫉妬と攻撃を加える恐れがあるため、長らく同業者とは関わらないようにしていた。

 
次回更新予定日
カレー沢薫(かれーざわ・かおる)

漫画家、エッセイスト。漫画『クレムリン』でデビュー。 エッセイ作品に『負ける技術』『ブスの本懐』(太田出版)など多数。

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