ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第77回
確定申告の季節がやってきた。
社会性のない我々に
やらせることではない。
しかしどれだけ取り繕っても、支払い通知全てに「カレー沢薫」と書いている時点でおしまいであり、明細には「エロ」とか「淫」とか、普通の会社の書類ではお目にかかれない文字が使われている場合もある。
職業に貴賎はない。しかし説明、そして相手に納得させるのが難しい仕事があるのは確かなのだ。
ちなみにこの世で最も説得力がある仕事は「無職」であり、名乗った時点で相手から仕事について次の質問が出てくることはない。
また税理士に依頼することにより節税のアドバイスをもらえることもあるが、何せ私は家から一歩も出ずにお得意のウィキペディア知識だけで仕事をしているため、毎回要約すると「お手上げ」的なことを言われる。
そもそも納税は義務なのに、その方法を学校で教えない、というのも不可解である。
義務は果たせと言われても義務の果たし方を教えてもらえないから、こちらは悪気なく税を脱したり、法を不悪口してしまうのである。
少なくとも「確定申告をしたくなければ会社員になれ」ぐらいは教えて欲しかった。
確かにフレミングの法則とかも使うタイミングが3億年に1回ぐらいあるとは思うが、それよりも毎年必ずやってくる確定申告知識の方が使用頻度は高いのではないか。
しかし「学校で教えられたことができない奴」ほどフリーランスになりがちという噂もあるので、教えたところで無駄なのかもしれない。
やはりフリーランスが確定申告をしなければいけないというルールの方がおかしい。
せめてできる奴だけやって、できない奴は言い値で税金を強制的に引き落とされるルールにしてほしい。
いくら法外な税金を請求されても「それで書類を提出しなくて済むなら良いです」という人間が必ず一定数いる。それがフリーランスであり、無職科に属する者たちだ。ちゃんと我々の習性を理解してからルールを作ってほしい。
(つづく)