〝おいしい〟のバトン no.5 SUSURU(ラーメンYouTuber)

susuruさん

ラーメンを食べる動画を毎日、YouTube で配信し続ける「SUSURU TV.」。2015年の開設以来、チャンネル登録者数は89万人を突破した。ラーメン好きが高じて脚光を浴びた、ラーメン YouTuber の生活とは。


 ラーメンに初めて衝撃を受けたのは、「ラーメン二郎」新宿歌舞伎町店で食べた一杯でした。確か明治大学経済学部に通っていた大学2年生の時だったと思います。僕は青森県弘前市の出身で、高校生の頃に友達から「東京にはとんでもないラーメンがあるらしい」と噂を聞いて、「ラーメン二郎」の存在自体は知っていました。青森にはあっさりした醤油ラーメンしかないので、全然違う世界があるのか、と妄想したり。二郎で濃厚な豚骨スープと極太の平打ち麺を食べたあとは、脳にビビッと電撃が走るように感じました。それ以来、二郎にハマり続けたのです。

 中学の頃から僕はバンド活動をやっていて、大学時代は早稲田のサークルに入っていました。歌舞伎町のライブハウスで仲間が演奏するのを観て、そのあと二郎に行くというのがあの頃の定番コースです。その後は三田にある本店にも行ったりと、大学時代はもう二郎の系列店ばかりで、週3、4回は食べていましたね。熱中するとそればかりになるタイプなので、当時は「二郎以外はラーメンじゃない」くらいのトガり方でした。現在の自分の活動を鑑みると、人生を変えるきっかけを与えてくれたのは間違いなく二郎のラーメンだったと思います。

良い店を見極める基準は外観が〝シンプル〟なこと

 様々な店のラーメンを食べるようになったのは、YouTube を始めてからです。それ以降は塩や醤油、味噌といったラーメンも好きになりました。SNSを始めた契機は、大学時代のバンドの先輩であるチャル蔵に、「毎日ラーメンを食べる動画を YouTube にアップしないか」と誘われたことです。先輩は今は、動画の編集などを担当してくれています。毎日ラーメンを食べるチャンネルはそれまでなかったので新しいと思われたのか、最初の1ヵ月で登録者数約千人に達しました。かなり順調なスタートだったと思います。

 大学は5年通いましたが、結果的に8単位しか取らずに中退していました。好きなことしかできないと自分でもわかっていたので、普通の企業に就職する気もなく、その時々を生きていければいい、何とかなるくらいの感じでした。世のなかを見下していて、若気の至りとはいえ、今考えると相当ヤバかったですね。特に YouTube を始める半年前はバイトなども一切しないニート状態だったので、正直不安な気持ちはすごくありました。先輩が声をかけてくれた時、人生が変わる機会かもしれないと思ってやり始めたのです。とはいえ周囲に YouTube をやってる人は誰もいないし、どうやったら成功するかもまったくわからずに、とにかく毎日動画を上げ続けた。それが今日まで続いているという感じです。

 チャンネルの登録者数が急激に伸びたきっかけは3回ありました。グルメ系の動画を毎日アップされている吉本芸人のはいじぃさんとのコラボで1回、ぎゅん、と上がって。その次にシバターさんという炎上系の方が、なぜか「SUSURU TV.」のことを「次、絶対に来ると思いますよ」と褒めてくださって、また伸びた。バズるってこういうことかと、初めて実感しました。その後、大人気 YouTuber の東海オンエアの方たちが深夜によく行く家系ラーメンがあるということでコラボして。YouTube の「急上昇」という項目で、その時は1位になったほど登録者数が伸びたんです。

 大学を卒業しなかったので両親も心配していましたが、2年目で登録者が約20万人に達した時に、母親は地元のママ友から僕の活動を教えられたようで、今は応援してくれています。最近は祖母もスマホを買って弟に YouTube のアプリを入れてもらったらしく、「毎日2回見てるよ」と言われたりと、家族にもどうにか認められるようになりました。現在は動画収益で、サラリーマンの平均より少し多いくらいの収入を得ています。「SUSURU TV.」は今、4人で作っているのですが、一軒家を借りて事務所にしているんです。1階は動画を編集するパソコンがあって、2階は漫画やフィギュアが置いてあったりと、大学生の男子寮のような感じです。

 YouTube ではバンドの経験も生かせているので、音楽やっていて良かったと思います。チャンネル総再生回数一万回とか、そういう節目ごとにラーメンに関する曲を作って披露していて、僕はボーカルとドラム担当です。

 僕たちのスタンスは、ラーメンを美味しく食べる動画を流すということ。ポンポンとテンポ良く、少しテンションも高い感じで、できるだけ楽しそうに、美味しそうに見せるというのは心がけています。あとは箸で麺を引き上げたときに、きちんと麺を見せることも意識してやっています。麺を噛み切らずにすすり切るのも大事ですね。動画を通じてライトな感じでもいいから「ラーメン好きだな」と思ってもらって、全国にいろいろなラーメン店があるのを少しでも知ってもらえたら嬉しいです。様々な店主に会えば会うほど、ラーメンは時間も手間もすごくかかった、素晴らしい食べ物だと感じるので。

 今はラーメン屋さんから「来てもらえませんか」という依頼をいただくこともあります。でも正直、お断りすることも多いんです。自分が気になるラーメン店に行きたいし、そういう想いや熱量はとても大切で、それが画面を通しても伝わると考えているからです。ラーメン店を探す時はSNSの画像とか、食べログの口コミを参考にすることが多いですね。ラーメンの画像だけではなく店の内観や外観など、雰囲気すべてを見るようにしています。YouTube で大事なのはサムネイルといわれる動画のトップ画面で、そこでどれだけ視聴者を惹きつけて見てもらえるかが大事だからです。

 僕が良い店を見わけるひとつの基準に、店の外観があります。外観や看板はシンプルなほうがいいな、と。落ち着いた雰囲気だとこちらも入りやすいし、居心地もいい。ピカピカした外観の店は勢いだけという感じもします。外面に、店の実力も出るとでもいうのでしょうか。

 今年の11月で YouTube を始めて5年なので、1800店以上は紹介したことになります。でもラーメン屋は全国で3万店あると言われているから、行くお店がなくなる心配はないですね。都内だけでも1年で60軒できて60軒潰れるなど、入れ替わりも激しい業界なんです。

最後の晩餐は自分の原点ともいえる醤油ラーメン

 今は毎日、昼頃にラーメン屋に3軒ほど行くのが習慣です。撮影以外でも全然行きますしね。でも朝は食べないし、夜も飲み会などなければ、何も口にしない日も多いです。マックスで1日9軒行ったこともありますが、これは相当きつかった。でも地方への遠征だったら、5軒は余裕でいけますね。僕の身体の99%は、ラーメンでできていると言えるんじゃないでしょうか。

 初めの頃はラーメン以外のものも好き勝手に食べていたので、体重も87kg まで行ったんです。それではまずいと思って3ヵ月くらい集中してジムに通って体重を落とし、今は73kg になっています。「毎日ラーメン健康生活」を掲げていますが、それ自体がもう大矛盾で(笑)。ある意味、毎日ラーメンを食べるとどうなるかという人体実験的な側面もあるので、ドクターストップがかからなければ、行けるところまで行きたいと思っています。

 でもこの前の健康診断はほぼオールA判定だったんですよ。5年前より身体的にもメンタル的にも、逆に健康になっているような気がします。これだとネタにならないんですけれど(笑)。基本、店主の方たちは手間をかけて作っているので、そういう意味では身体には悪くないのかもしれないですね。世のなかを斜めに見ていた自分はラーメンによって変わることができたし、ラーメンに育ててもらったと思っています。最後の晩餐は、と聞かれたらやっぱりラーメンに尽きますね。最後に食べるのは正統な細麺の醤油ラーメンがいい。青森の地元のラーメンがそういうあっさり系だったので、自分の原点のラーメンが食べられたら本望です。


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SUSURU
1993年青森県生まれ。2015年11月に「毎日ラーメン健康生活」をテーマに掲げた YouTube チャンネル「SUSURU TV.」をスタート。関東圏を中心に、全国各地のラーメンに関するレビュー動画を毎日欠かさず配信。現在ではチャンネル登録者数が89万人を超える。他に、登録者数16万人以上のサブチャンネル、「SUSURUのミッドナイトTV.」がある。

 

SUSURUさんをもっと知る
Q&A


1. 理系? 文系?
文系です。ただ僕は大学は数学受験だったんです。世界史とかマジで覚えられなくて。国語も苦手だったけれど、考え方は文系だと思います。

2. 幼い頃の思い出の味は?
母親のカレー。家に帰って玉葱を炒めている匂いがするとすごいテンション上がって。あとは母方の祖母のレシピである、つゆだく鶏そぼろご飯。素揚げしたポテトも好きでした。

3. 好きなお酒は?
今はウイスキーのソーダ割りとか、焼酎のお茶割りとか。ビールや日本酒も好きなんですけど、カロリーが高いので、毎日ラーメン生活の今は我慢しています。

4. 仕事の必需品は?
YouTube の動画を撮るのに必要な iPhone 、ハンディカメラとそのスタンド。常に持ち歩いています。

5. ストレス解消法は?
週に2回、ジムに行くのがストレス解消になっています。あと歯医者に行くのが結構好きで。寝てぼーっとしてるだけで歯が治る、あの感じがいいんです。

6. 落ち込んだ時の対処法は?
小さいところで結構、落ち込みやすいんです。対処法は、シャワーを浴びて寝ること。寝るとすべて忘れて、解決できます。

7. 今、欲しいものは?
大きいところで言うと家ですかね。でも、あまり物欲はないですね。日々、楽しく過ごせるのがいいなという感じで。


(構成/鳥海美奈子 撮影/田中麻以)
〈「STORY BOX」2021年1月号掲載〉

〝おいしい〟のバトン no.4 稲田俊輔さん(飲食店プロデューサー)
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