14歳に共感してしまう3冊
「14歳」は、どんな年齢なのだろう。かつてその年齢だった自分を思い出せたとしても、たぶん答えはみつからない。今回ご紹介する3冊は、個性的な14歳が多数登場します。
川澄浩平さん『探偵は教室にいない』、第28回鮎川哲也賞受賞作品です。
舞台は札幌、著者も札幌在住、しかも書店に勤めた経歴もあるという事実に親近感湧きまくりです。14歳の少女・真史はバスケ部に所属し、彼女なりに真剣に取り組む毎日を過ごしている。そんなある日、差出人不明のラブレターが机の中に入っていた。手紙は綺麗な文字で書かれている。「一体誰が?」という疑問を解決してくれそうな鳥飼歩は、一風変わったところがあるが、妙に頭は切れる。9年ぶりに再会した幼馴染は学校に行っていないらしい。真史の周りで起こる日常の謎を解き明かす4つの物語。この中学生たちがとてもいい。きゃーきゃー騒ぐだけの子どもではなく、かといって背伸びしているわけでもない。謎を解決する瞬間に一歩前へ歩み、数センチ上に伸びるような成長を感じさせる。十分に身長がある彼女は、そうは思わないかもしれないけど……。
『青少年のための小説入門』久保寺健彦さんの7年ぶりの長編小説です。
いじめられっ子の一真は中学のクラスメイトから駄菓子屋での万引きを強要される。そんな一真のピンチを救ってくれたのは、登というヤンキーだった。二人の出会いは、ここから加速してゆく。読み書きができないディスクレシアである登は、「小説の朗読をしてくれ」と一真に迫る。名作小説の数々を共に読んでいくうちに、小説の面白さに熱狂し始める。そして、二人で作家になろうと決意する。この小説の面白さは、いくつもありますが、最強なのは、朗読によって物語を共有した二人が、その面白さについて語る場面です。主に登が解釈をするのですが、その独創的な解釈や物語を作る柔軟性には目を見張ります。登が話を考え、一真が原稿を書く。そして二人は……。
最後に『14歳、明日の時間割』。著者の鈴木るりかさんも14歳です。
『さよなら、田中さん』で世間をあっと言わせたのが昨年。こんなに早く2作目を世に出すなんて、しかも直球勝負のような作品です。時間割に見立てた7編の短編はどれも生き生きとしています。