『星を掬う』町田そのこ/著▷「2022年本屋大賞」ノミネート作を担当編集者が全力PR
『52ヘルツのクジラたち』という特大のプレッシャーを乗り越えて
昨年、町田そのこさんの『52ヘルツのクジラたち』が本屋大賞1位を獲得したと聞いた時は、言葉通り心と体が跳ねました。ですが、それは30分後にはプレッシャーへ変わっていました。
実は、『星を掬う』の第一稿をいただいたのは、大賞受賞前。その原稿を読んでの感想は「悪くない」でした。『52ヘルツのクジラたち』と同じぐらい、面白かったのです。そこに『52ヘルツのクジラたち』の大賞獲得の連絡が入りました。
ここからは怒濤の日々。大賞フィーバーに追われ、新作については忘れて過ごしていました。
そして、二人で正気に戻ったのは6月頃。
「新作、あれじゃ駄目ですね」
大賞を得たことで、これまでの何十倍の人に『52ヘルツのクジラたち』を読んでもらえました。色々な感想をもらいました。だからこそ「『52』より面白い物語を作る。それが賞に対する恩返し!」を合い言葉に、何度も何度も推敲して完成したのが『星を掬う』です。
今作は、本屋大賞なくしては生まれなかった物語です。町田そのこという作家が、全国の書店員さん、読者の皆さんに鍛えられ、成長した証の1冊でもあります。
『52ヘルツのクジラたち』は、担当者として感動して鼻血を出しましたが、『星を掬う』は知恵熱を出すぐらい考えぬいて作り上げた作品です。
更に進化した町田作品がどんなものか、読んでいただけますと幸いです。
──中央公論新社 文芸編集部 山本美里
2022年本屋大賞ノミネート
『星を掬う』
著/町田そのこ
中央公論新社
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