『PRIZE―プライズ―』村山由佳/著▷「2026年本屋大賞」ノミネート作を担当編集者が全力PR

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カインのせい


 本を作るのはいつだって緊張する。
PRIZE』の単行本化を担当することになったとき、村山さんとのお仕事は初めてだったのもあり、やはりすごくドキドキした。でもあの緊張は、いつもとは異質な源泉から来るものだった。
 天羽カインのせいだ。

『PRIZE』の主人公である天羽カインは、本屋大賞(!)にも輝いたことがある大人気作家だ。小説に人生を救われ、小説で人を救おうとする全身小説家で、障壁になるものには徹底的に抗う。自作に情熱を注がない編集者、部数を不当に下げようとする出版社、妻である自分の作家業を軽んじる夫……。その剣幕は凄まじく、怪物的な恐れられ方をすることもある。しかし、すべては自作とその読者のためなのだ。
 そんな彼女が欲しくてたまらないのに手にできていないものが、直木賞だった。
 本屋大賞は全国の書店員有志による投票で大賞が決められるが、直木賞をはじめとする文学賞は複数人の実作者による選考で決められるものが多い。つまり、文学賞を獲るということは、作家に、ひいては文壇に認められるということなのだ。彼女が欲しいのはその承認だった。
 カインが直木賞にかける獰猛なまでの情熱を、至近距離で浴びる二人の担当編集者も本作の語り手を担っている。カインの大ファンの若手・緒沢千紘と、文藝春秋の小説誌「オール讀物」編集長の石田三成だ。異なる会社に勤める二人は、それぞれの立場でカインにプレッシャーを掛けられていく。一方はまっすぐに応えようとし、もう一方は困惑する。
 文芸編集者とはこういう人たちとこんなふうに仕事をする職業なのか、とその一端を垣間見ることができる作品なのだが──若手編集者である私は、その様を見て戦慄したのだ。
「ここに書かれていることは、どこまで〝本当のこと〟なんだろう……?」
 そして同時に思った。
「村山さんの中には天羽カインが棲んでいるのだろうか……?」
 これこそが『PRIZE』を担当するにあたっての緊張の源だった。

 真実はここではあえて明言しないが、2025年1月の刊行から今まで、村山さんと『PRIZE』と一緒にずっと走ってきた。それは本当にほんとうに幸福で光栄な時間だった。
 本屋大賞について真正面から言及がある本屋大賞ノミネート作は、今後もなかなか現れないだろう。『PRIZE』は果たして本屋大賞という〈PRIZE〉を獲得することができるのか……みなさんも私と一緒に、ドキドキしながら見届けていただけたら幸いです。

全力PR『PRIZE―プライズ―』_著者にお届け
『PRIZE』の見本をお届けした日の一枚

──文藝春秋 安尾日向


2026年本屋大賞ノミネート

PRIZE―プライズ―

『PRIZE―プライズ―
村山由佳
文藝春秋
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ゆっきゅんの毎日今日からちゃんとしたい日記 ☆2026年1月後半★
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