ヒロシマ・ボーイ

◎編集者コラム◎ 『ヒロシマ・ボーイ』著/平原直美 訳/芹澤 恵
《関西国際空港に降り立ったマス・アライは、税関をまえに不安に駆られていた。スーツケースにしのばせてきた親友のハルオ・ムカイの遺灰を見とがめられやしないだろうか。ハルオの遺灰は、さんざん使ってくたびれかけたビニール袋に入れて口を園芸用の緑の紐でくくったうえに、マスの履きふるした靴下に詰め込んであった》