リングサイド

三浦裕子『リングサイド』
熱くて真剣でおかしくて切ない 台湾の若手作家、林育徳の『リングサイド』は、プロレスをめぐる10篇の連作短編小説。プロレスがとてもマイナーな娯楽である台湾で、プロレスにうっかり出会ってしまい、なぜか深く魅了されてしまった市井の人々のストーリーです。
新刊『リングサイド』収録▷「ばあちゃんのエメラルド」まるごとためし読み!
 本当に俺にプロレスの話を聞きたい? だとすると、ばあちゃんの話から始めなきゃいけないな。でも、約束してくれ。俺に、プロレスは〝芝居〟なのか?って、絶対に聞かないでくれよ。ばあちゃんはいっつも、自分の小さな部屋に籠もってテレビを観ていた。小さい頃の俺も、ばあちゃんと一緒に一晩中テレビを観ていた。いや実際は一晩中ってわけじゃなく、九時か十時になるとばあちゃんは、明日も