ワンダフル・ライフ

丸山正樹『ワンダフル・ライフ』
 聴覚障害を題材にした社会派ミステリー「デフ・ヴォイス」シリーズで知られる丸山正樹が、作家デビュー一〇年の節目となるタイミングで渾身の勝負作『ワンダフル・ライフ』を発表した。四組の男女からなる物語の内側に、自身の実人生をも取り込んだ本作は、ミステリーの要素が盛り込まれながらも人間ドラマとしてかつてない高みに到達している
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 それが、現実──。ままならない日々を、そう割り切って受け入れていく生き方も、ひとつの処世術といえるのかもしれない。けれどそうすることで、目を背け、距離を置き、冷遇しているなにかを忘れてないか。丸山正樹『ワンダフル・ライフ』は、複数のケースを提示し、ミステリの手法を用いて読み手に、その〝なにか〟の一端をのぞかせようと