宇佐見りん

 捨てられないものがたくさんある。昔の写真。旅先で買ったポストカード。ちょっと綺麗な包装紙。段ボールひと箱分のそれらは、いつでも捨てられそうなものばかりなのに、見えない糸で繋がれているかのように、何度引っ越しを重ねても私にずるずるとついてくる。だが、それよりも捨てにくいのは目に見えないものだ。親子の縁を、兄弟の絆を、家
「あたしには、みんなが難なくこなせる何気ない生活もままならなくて、その皺寄せにぐちゃぐちゃ苦しんでばかりいる。だけど推しを推すことがあたしの生活の中心で絶対で、それだけは何をおいても明確だった。中心っていうか、背骨かな」『推し、燃ゆ』がどんな人を描いた物語なのか、端的に表しているのが本文中のこの文章だと思います。学校で