宮内悠介

採れたて本!【歴史・時代小説】
 明治末の一九〇八年、木下杢太郎、北原白秋、長田秀雄、吉井勇、石井柏亭ら耽美派の芸術家が、〈牧神の会〉を結成した。宮内悠介の新作は、隅田川沿いの第一やまとで開かれる会合で語られる不思議な話を、〈牧神の会〉のメンバーが推理する多重解決ものの連作集である。団子坂に展示された乃木将軍の菊人形に刀が突き刺されたが、番人は刀を持
作家を作った言葉〔第4回〕宮内悠介
 商業ベースに乗っていようがいまいが、作家は作家だしそうでない者は違う。少なくともぼくはそう考えてきた。また、こうも思う。「言葉一つに左右されちゃうのは、それは作家なの?」と。が、当然のことながら、人間はこんなふうに一貫できないし、確信は明日の迷いとなる。流れていた音楽は気づけば消える。ぼくの場合は、十年にわたって新人
宮内悠介さん『黄色い夜』
きっかけは二十代の頃の旅  アフリカのエチオピアに隣接する架空のE国。そこは資源が乏しく、産業はカジノに頼り、砂漠には螺旋状の巨大なカジノ・タワーが建っている。ここにやってきた日本人青年の龍一、通称ル