斜線堂有紀

斜線堂有紀『愛じゃないならこれは何』
恋は「殉ずる」の一択 二〇二〇年八月に刊行した特殊設定ミステリ『楽園とは探偵の不在なり』が第二一回本格ミステリ大賞の候補となり、斜線堂有紀は一躍、「本格」シーン最注目の存在となった。ところが、最新刊『愛じゃないならこれは何』は自身初となる非ミステリの短編集だ。その代わり──自身初の「本格」恋愛小説である。
今月のイチオシ本【ミステリー小説】
 捨て置かれ、ただ時とともに朽ちていく建造物──廃墟。それは建物の遺骸と捉えることもできるが、遺跡や動物のはく製を見て覚えるものとはまた異なる情感をもたらし、なぜか妙に心を惹きつける。この得もいわれぬ退廃的な魅力の正体とは何なのか。斜線堂有紀『廃遊園地の殺人』は、その答えの一端を垣間見せてくれる長編本格ミステリだ。