新庄耕

「推してけ! 推してけ!」第19回 ◆『夏が破れる』(新庄 耕・著)
評者=橘 玲(作家) 「いやな感じ」に魅せられて 冒頭のバンコクの場面から、新庄作品に独特の「いやな感じ」が漂ってくる。今回の主人公・進は三十代半ばの厚生労働省の官僚で、タイの日本大使館に赴任している。タイは中進国に経済成長したが、依然、少年・少女の売買春などのトラフィッキング(人身取引)が国際問題になっている。その被
新庄 耕『夏が破れる』
詮ない抵抗の末に あとがきでも少し触れたようにこの「夏が破れる」は、当初の構想では、清涼飲料水のコマーシャルフィルムのごとき爽やかな青春群像劇をイメージしていた。にもかかわらず、終わってみれば、青春とは真逆のサスペンススリラーに様変わりしていたのはどういうわけだろう。連載中は、物語の風呂敷をたたむのに精一杯で作品を俯瞰