早瀬耕

「推してけ! 推してけ!」第26回 ◆『十二月の辞書』(早瀬 耕・著)
評者=池澤春菜(声優) 水晶の明晰さと透徹性を持ち、時間をかけて育つ物語 水晶のようだ。ゆっくりと、物語は育つ。1992年にデビューし、この30年で、これが6冊目。寡作と言ってもいいかもしれない。ただ、早瀬さんの物語は時間をかけて育つ。水晶の明晰さと透徹性を持ち、二つとない結晶として生まれてくるのだ。氷だったら数時間で
早瀬 耕『十二月の辞書』
設定していなかった朱鞠内湖のほとり 短編小説『十二月の辞書』を長編にリメイクした草稿では、北海道の陸別町から物語が始まっていた。北見と帯広の中間地点にある小さな町で、とてつもなく寒い場所なのだという。内陸の町なのに「陸から別れる」という当て字も、物語の冒頭にふさわしいように思えたし、天文台とプラネタリウムもある。陸別に
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん TSUTAYA 中万々店 山中由貴さん
小説は不思議な媒体だ。そこにある情景を一瞬で見ることはできない。読むという行為を通して文字が降り積もり、じぶんがそれを読むスピードで、光景やできごとが地面からにょきにょき生えてくる。3Dプリンタで使われる素材が「言葉」だったら、物語が脳内で組み立てられていく過程は、きっとそんなかんじだ。
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 人は、自分にとって大切な存在がいる場合、その人を鏡にして自分の姿を見ているのではないかと思う。「こんな自分でありたい」という理想は、漠然とではあっても誰もが持っていると思うが、それは、自分に対してというよりも大切な人に対して「こうありたい」、「こう生きたい」という願いのような気がする。恋人、夫や妻……人によってその相
特別インタビュー 早瀬  耕さん『彼女の知らない空』を語る
 文庫刊『未必のマクベス』がベストセラーとなり、一躍注目作家となった早瀬耕さん。豊富な演劇の知識と、サイエンスの知見を採り入れた密度の高い物語が高く評価されています。このたび、待望の新作『彼女の知らな
hayasekosan
最初の小説は大学の卒業論文だった きらら……デビュー作『グリフォンズ・ガーデン』は1992年に刊行されています。文学新人賞への応募作ではないようですが、もともと作家志望でいらしたのですか? 早瀬……学