ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第124回
メディア化は作家の夢だが、
「キャラNG」など
慎重派もいるらしい。
前回、某青年誌編集が漫画の新人賞に晩年に差し掛かった応募者による「俺が考えた最高にいい男 or 女とエロいことになる話」が大量に送られてきて若干辟易している、という話をした。
だがよく考えれば、現在大河ドラマの主役に抜擢されている紫式部パイセンだって「俺が考える最強のグッドルッキングガイがエロ無双する話」を書いて歴史に残った人である。
つまり我々が求めるものは1000年前から変わっておらず、イイ男やイイ女が出てきてエロいことになる話や、一方的に婚約破棄を言い渡して来たバカ男と間女が最終的に地獄に落ちる話など、親の顔よりXの広告で見た話が好きであり、カレーのように何度食っても飽きていないのである。
だが大体の人間がカレーを作れるように、そういう話は誰でも思いつくため、そこから突出し大勢から金を取れるレベルのカレーを作るのは難しいのである。
紫パイセンは約1000年経っても飽きられないジャンルのパイオニアの一人という意味でもやはり偉大なのである。
しかし最近は大河しかり、作品ではなく作者の方がメディアミックスされるという現象が増えているような気がする。
ソシャゲのFGOでも紫式部や清少納言がキャラ化しておりシェイクスピアやアンデルセンなども登場するし、他にも文豪たちをイケメン化した作品はある。
アニメ化やドラマ化などの「メディア化」を目標にしている作家は多いし、私も未だに何かの間違いでいいから私の作品をアニメやドラマにしてくれないかと思っている。
そんな私でも「お前のアニメ化が決まりました」と言われたら「先に作品の方をしろよ」とキレる気がする。
ただ紫パイセンに関しては、すでに源氏物語が何度も実写化され、「あさきゆめみし」に代表されるコミカライズも多数行われており、どうやら源氏物語原作のアニメもあるようだ。
作品のメディア化はすでにされ飽きていると思うので「今度は紫先生をドラマ化します」と言われても「次はそういう方向か」ぐらいのものなのかもしれない。