田島芽瑠の「読メル幸せ」第72回

田島芽瑠の読メル幸せ

第72回


4月になりました🌸

今年の冬は暖かかったから桜の開花も早いんだろうなと予想していたら、まさかの12年ぶりの遅咲きでしたね😂春の訪れを感じた4月の始まり、皆さんはいかがお過ごしでしたか?

私は先月、家族旅行でハワイに行ってきました!2月末の韓国に続いて、良い刺激をもらえて最高に充実した期間でした。今後行きたいと思っているのは、タイ、香港、インドネシアのバリ島、ベトナムのダナン、アメリカのニューヨーク、フランス……興味がある場所を挙げたらキリがないです!

海外へ行ったことで色々なことへのモチベーションが上がり、今は自分磨きを頑張っています。美容のためにダイエットに励んだり、資格を取ってみたいなと考えたり……きっかけって大事ですよね。2024年、最高の上半期になってきている気がします!輝く24歳の1年にして、私自身、誰かが何かを始めるきっかけにもなれたら嬉しいです✨

そんな旅の道中で読んだ、加藤千恵さんの『あなたと食べたフィナンシェ』をご紹介させてください。

「読メル幸せ」第72回

ショートストーリー+短歌集の作品。珍しい構成だなと思って読み進めていたのですが、この短歌がどれも素晴らしくて。ストンと心に入ってくるのが心地よかったです。アンキモ、フライドポテト、さきいか、唐揚げ、サラダ、お雑煮……。人生の忘れられない場面には必ず食べ物の記憶がある。一人一人の物語が誰にでも起こりうる日常の1コマだから、身近に感じてなんだかちょっぴり切なくなる。静かな時間が流れる中で様々な感情を思い出す、そんな物語達でした。

その中でも私は特に、「カスタードドーナツ わたしの仕事」というお話が好きでした。思い出すのは3年前の面接。あの頃やりたかった仕事とは似ても似つかない今の仕事。久しぶりにすれ違う同期は忙しそうで輝いて見えて、自分の仕事と比べてしまう。そんな彼女に上司が言うんです。「誰がやってもいい仕事ってさ、でも、誰がやっても同じ仕事ではないんだよ。ちゃんとその人に、はねかえってくるもんだから」水滴のように小さな仕事だけど、どこかで海につながっていく。なんて素敵な言葉なんだろうと思い、私の心にも刻みました。必要ない仕事なんてなくて、目の前のことに一生懸命取り組んでいればなにかに必ずつながるんだと改めて感じました。ハッと気付かされることをさらっと言葉にできる上司。かっこいいですよね。そんな言葉に溢れている作品です。

「読メル幸せ」第72回

楽しい時も、辛い時も、やる気に満ちている日も、頑張れない日も。食事は私達と共に人生を歩んでいる。私にとって忘れられない味って何だろうと考えると、ふと母が作るフレンチトーストの味を思い出しました。実は小学生の頃入院したことがありまして、その時に「何か食べたいものある?」と母に聞かれて「フレンチトースト」と答えたのを今でも覚えています。朝ごはんやおやつに普段からよく作ってくれていたからか、私にとっては母の温かさ、柔らかさを感じられる味なんです。やっぱり母や祖母の手料理の味を思い浮かべると色んな感情が蘇ってくるな。長崎のパリパリの皿うどんも忘れられない。曽祖父母のお家で窓からの光が差し込んでいる長いテーブルを囲んで、「いっぱい食べるんだよ」と言ってにこにこ出してくれる。また食べたいな、あの皿うどん。皆さんの食べ物から始まるショートストーリーも聞きたいものです。忘れられない味はありますか?

今回は旅行期間だったこともあり、移動時間に少しずつ読める本がいいなと思っていたので、ぴったりな本に出合えて縁があるなと思いました。一つ一つの物語が短い中でも、登場人物の〝生き様〟がとても感じられて一瞬で世界観に浸れる。忙しない日々に一輪の花を添えてくれるような、安らぎの時間をくれる作品でした。何かと新しいことが始まり慌ただしくなるこの季節、息抜きにもおすすめできる素敵な物語。是非読んでみてください。

良い本の旅を。田島芽瑠でした。

「読メル幸せ」第72回

(次回は2024年5月中旬に更新予定です)


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